NHKのバラエティ番組で、お好み焼きを紹介するのに「広島焼き」とテロップを出したところ、視聴者から抗議が相次いでいたことが分かった。
大阪のお好み焼きは、小麦粉の生地と肉やキャベツなどの具を混ぜ合わせるのに対し、広島のお好み焼きは、生地の上に具を重ねていくのが特徴だ。
「広島人の感情を逆なでしてどうする」
サラリーマンらの昼飯を紹介するNHKの番組「サラメシ」では、2016年9月20日の放送で、広島のお好み焼きを「広島焼き」としてテロップで流したことから、ちょっとした騒動になった。
この日は、プロ野球・広島カープのリーグ優勝にちなんで広島を特集し、その中で名物のお好み焼きも取り上げた。問題のテロップが出たのは、その映像が流れたときだ。
NHKホームページ上の9月分の「視聴者対応報告」によると、放送の後から視聴者の広島県民らから抗議が相次ぎ、ツイッターでも同様の声が上がった。
「広島のお好み焼きはお好み焼き! 広島焼きなんてもんは、広島にはありません! 広島について放送するのに、広島人の感情を逆なでしてどうするんですか?」(40代男性)
「広島県人が一番怒る言い方です。広島風お好み焼きならまだ許せる。東京の人が作った番組だと思った」(30代女性)
こうした視聴者の声を受け、番組スタッフは早速、地元の広島放送局に電話して意見を聞いた。その結果、番組のプロデューサーが「せっかく広島の特集を行ったのに、広島県民の気持ちを損なっては意味がない」と判断し、2日後の再放送では、「お好み焼き」とテロップを修正した。これに対し、ツイッター上では、NHKを評価する声が相次いだとして、「広島県民の声に素早く対応」としている。
この報告内容は一部で報じられ、2ちゃんねるでスレッドが複数立つなどして、「広島焼き」の是非などが議論になっている。
「一般的には『広島焼き』の認識では」
「広島焼き」について、それはおかしいとして、「何で大阪焼きと言わないの?」との反発も出ていた。一方で、よく使われる表現でもあることから、「お好み焼きっていったら関西のやつ思い出す」「もう一般的には広島焼きって認識なんじゃないのか」といった声も多かった。
お好み焼きの普及活動をしている広島市内の一般財団法人「お好み焼アカデミー」では、J-CASTニュースの取材に対し、「こちらでは、『広島焼き』という言い方はしません。広島のも、『お好み焼き』と言います」と話す。
「『広島焼き』では、お好み焼きじゃないみたいで、別の料理に聞こえてしまいます。お好み焼きに『広島風』や『広島流』をつけても、広島県民には、おかしい、それは違うとこだわる方もおられます」
お好み焼きは、安土桃山時代に千利休が考案したお茶菓子の「麩(ふ)の焼き」が起源とされる。もともとは大阪で生まれたことになるが、それが広島などで「お好み焼き」として独自に進化してきた。
お好み焼アカデミーでは、「広島では、原爆投下からの戦後復興とともにお好み焼きと歩んできたという自負がありますので、言い方についてはデリケートなところではないでしょうか」と話している。