日経平均、英国EU離脱時以来の1000円超の下げ
一方、東京株式市場は「トランプ優勢」が伝えられるたびに、日経平均株価は大きく下げた。米大統領選は接戦が続き、取引時間中に結果は判明しなかったが、共和党のトランプ氏の勝利による先行き不透明感が強く意識され、全面安の展開。日経平均株価の終値は、前日比919円84銭安の1万6251円54銭と続落。東証株価指数(TOPIX)も62.33ポイント安の1301.16と反落した。
日経平均株価は前場に、クリントン氏の勝利を織り込んだ前日の米国の株高を好感して買いが先行。10時すぎには前日比256円33銭高の1万7427円71銭を付けたが、その後、フロリダ州でトランプ氏優勢が伝えられると幅広い銘柄が売られ、全面安の展開となり、心理的な節目となる1万7000円台を大きく下回った。
一時、前日比1059円57銭安の1万6111円81銭を付けた。1000円を超える急落は、英国の欧州連合(EU)離脱が決まった時(前日比1286円安)以来の下げ幅だ。1日の値動きも1200円を超えた。
当面の株式市場について、第一生命経済研究所経済調査部の主任エコノミスト、藤代宏一氏は「今回の大統領選は、トランプ氏の過激な発言が注目されたために、民主党、共和党それぞれの政策を含めた選択の部分がかき消されてしまいました。よく見ると、トランプ大統領になっても短期的には減税や規制緩和の推進など、経済にとってプラスになることは少なくありません」と説明。為替や株式市場の混乱は、「一時的な、『トランプショック』にすぎません」とみている。
また、米大統領選で共和党のトランプ氏が優勢なことを受けて、財務省と金融庁、日本銀行は2016年11月9日15時すぎから緊急会合を開催。東京金融市場で、急激な円高・株安となっていることから、対応を協議している。
「為替介入するかどうかを判断するためで、市場への『けん制球』の役割があります」(藤代氏)とみている。