東京都新宿区の神宮外苑で行われたイベント「東京デザインウィーク」で、木製の展示物が燃えて男児(5)が死亡した火災をめぐり、作業用の照明器具として設置された「白熱電球」が出火の原因になったとの見方が強まっている。
出火した展示物を制作した学生が、演出用のLED電球だけではなく「白熱電球も点けた」と警視庁四谷署の調べに話したからだ。だが、仮に点灯していたのがLED電球だけだったら「危険性はなかった」と言えるのか。
燃え広がった木くずと木造展示物
火災は2016年11月6日17時15分頃に発生。日本工業大の学生らが制作した「素の家」と名付けた体験型の木造展示物全体に火が燃え広がり、作品内部で遊んでいた男児(5)が死亡、子供を助けようとした父親(44)ら2人がやけどを負った。
出火した作品は、木製のジャングルジムのような形状。骨組み全体にかんなくずのような木くずが飾られており、内部にはライトアップのための照明が設置してあった。作品の中に人が入れるようになっており、出火直前にも複数の子供が遊んでいたという。
日本工業大の学生支援課の広報担当者は7日のJ-CASTニュースの取材に対し、「責任は全面的に大学にある」と強調。その上で、
「作品にはLED照明だけを使用する予定だったが、これとは別に作業用の灯光器をライトアップのために展示物の内部に設置し、これに白熱電球が使われていた」
と説明した。発火の原因はまだ特定されていないが、白熱電球と木くずが原因との見方が強まっている。
LEDと比べて高温になりやすく、発火しやすい「白熱電球」の危険性を学生に十分周知していたかどうかについて、大学の担当者は
「担当の教員が指導を行っていたはずだが、不十分だったのだろう」
と話した。
また、担当者は「(展示物を制作したのが)学生による任意団体だったために、指導体系が曖昧になっていた部分がある」と話した。事故を起こした「素の家」は、デザインウィークが実施される10月26日から7日まで展示される予定だった。製作段階では教員が指導に当たったが、火災当日は立ち会っていなかったという。