女性の多くがかかるデリケートゾーンのありふれた病気「カンジダ症」の病原菌に薬が全く効かない新型の耐性菌が登場、世界中で猛威をふるいはじめている。致死率が6割に達する恐ろしさだ。
2016年11月4日、米疾病対策センターが、新型カンジダ症が米国に上陸、死者が出始めており、「世界的な脅威になる」と警告する声明を発表した。AFP通信など海外メディアが報道した。
あらゆる抗生物質が効かない「カンジダ・アウリス」
11月5日付AFP通信によると、米国で見つかった新型カンジダ症の患者は2016年8月までに13人で、少なくとも4人が死亡した。カンジダ症はカンジダ菌という真菌(カビの一種)が病原菌だが、あらゆる抗生物質が効かない「カンジダ・アウリス」と呼ばれる新型菌が初めて発見されたのは、2009年に日本の患者の分泌液からだ。その後、英国、コロンビア、インド、イスラエル、ケニア、クウェート、パキスタン、南アフリカ、韓国、ベネズエラなどで次々と新型菌が報告された。
米疾病対策センターは2016年6月、新型菌が「世界的な脅威になりつつある」と警鐘を鳴らしたが、今回初めて米国にも患者と死亡者がいることを明らかにした。各国の情報によると、致死率は平均で60%近くに達する。
カンジダ症は、耳慣れない恐ろしげなイメージがあるが、実はありふれた病気なのだ。もともとカンジダ菌は皮膚の中に常在し、特に口の中や膣内などの湿った場所に多く生息する。幼児や高齢者が風邪などで免疫力が低下すると、菌が増殖し口内炎を引き起こす。特に女性の膣や外陰部で繁殖しやすく、おりものや膣周辺の炎症、かゆみ、腫れなどを引き起こすのが「膣(女性器)カンジダ症」だ。女性の5人に1人がなるといわれる。男性も性器周辺に菌を持っている人が多いが、症状が表れることはまれだ。性行動によって女性にうつすことがあり、「性感染症」(性病)に分類される場合が多い。