脳に刺激を与え続ける3つのトレーニング
ただ、がっかりする必要はない。榎本氏は、認知症予防のトレーニングを3種類紹介した。
その1は「チャチャチャトレーニング」。童謡「おもちゃのチャチャチャ」を歌うのだが、歌詞の「チャ」の部分は発声しないで、代わりに手を叩く。歌の冒頭部分なら、「おもちゃの」と声を出して歌った後、手拍子を「パン、パン、パン」と3つ続けて打つ。これは脳のネットワークを刺激するねらいがある。
その2は「トントンすりすりトレーニング」。椅子に腰かけて、右手を握って右足の太ももを軽く叩きながら、同時に左の手のひらを開いて左足の太ももをさする。左右違う動きを続けるのは簡単ではない。しばらくして榎本氏が「チェンジ」と声をかけると、逆に右手で「すりすり」、左手で「トントン」と動きを入れ替える。
その3は「マルチじゃんけん」。榎本氏とじゃんけんするのだが、榎本氏がグー、チョキ、パーのいずれかを出したらそれを見た瞬間に、自分の右手でそれに勝つように出し、同時に左手は自分の右手に勝つようにする。例えば榎本氏がグーなら、右手はパー、左手はチョキ、といった具合だ。こうした複雑な判断を瞬時に下すことは、脳の前頭葉で考え手足に命令を送るため、前頭葉を鍛えるトレーニングになる。
3つのトレーニングはいずれも最初からすぐにはできない。それでも訓練を繰り返し、脳に刺激を与え続けるのが認知症予防の上で重要だ。