銀座・松坂屋跡地に「GINZA SIX」 脱百貨店にかける意気込み

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

   J・フロントリテイリングと森ビル、住友商事などが東京・銀座の松坂屋銀座店跡地で進めていた大型再開発複合ビルの名称が「GINZA   SIX(ギンザ   シックス)=GSIX」と決まり、2017年4月20日に開業することになった。GSIXは銀座6丁目の二つの街区をひとつにまとめた地上13階、地下6階の大規模施設で、高級ブランドの店舗を集積。観光バスの乗降場を設けるなど、訪日外国人観光客の来店も意識した内容で、銀座最大規模の再開発となる。

   16年10月26日、森ビルなどが発表した。GSIXは銀座の中央通り、みゆき通り、交詢社通り、三原通りに面し、中央通り側にはディオール、セリーヌ、サンローラン、ヴァレンティノ、フェンディなど高級6ブランドの路面店が並ぶ。

  • 来春オープンする「GINZA SIX」の完成予想イメージ図
    来春オープンする「GINZA SIX」の完成予想イメージ図
  • 来春オープンする「GINZA SIX」の完成予想イメージ図

内外200超のブランド店を集積

   GSIXの商業施設は地下2階~地上6階と13階の一部で、7階~13階はオフィスが中心となる。商業施設の売り場面積は4万7000平方メートルで、銀座エリアで最大となる。本家の松坂屋百貨店は出店せず、ファッションを中心に内外の241のブランドが出店。このうち122店舗は旗艦店で、11店舗は日本初出店になるという。GSIXが銀座の新たなランドマークとなるのは間違いない。

   松坂屋を運営するJ・フロントの山本良一社長は、会見で「銀座で百貨店はやらない決断をした。銀座に必要なのは新しい商業施設を作ること。百貨店の枠にとらわれず、241店舗を出店し、どこよりも早い情報発信、商品展開をしていきたい」と力を込めた。

   東京五輪・パラリンピックに向け、急増する訪日外国人観光客を取り込むため、観光バスの乗降場や駐車場を整備し、集客を図る。銀座では観光バスの乗降場が慢性的に不足していただけに、路上駐車による混雑も解消されそうだ。

   また、地下3階には能楽最大流派・観世流の拠点「観世能楽堂」を設け、日本の伝統文化を外国人らに紹介する役割も担っている。

「銀座変革の起爆剤に」

   J・フロントが今回、新たな商業施設に「松坂屋」の名称を用いず、百貨店からの転換を決断をした背景には、百貨店業界全体の不振がある。

   百貨店業界は、昨(15)年まで売上げを牽引してきた訪日外国人観光客向けの販売が今年に入り激減。主力の婦人服などの衣料品事業も、個人消費の低迷で苦戦しており、日本百貨店協会が10月20日に発表した9月の全国百貨店売上高(既存店ベース)は前年同月比5.0%減と7か月連続でマイナスとなるなど、百貨店経営は不振が目立っている。

   近年は大型ショッピングセンターや「ユニクロ」などの衣料専門店に顧客を奪われ、「百貨店というビジネスモデルは限界を迎えている」(アナリスト)とされる中、J・フロントは「銀座でも複合的な商業施設にリニューアルすれば、百貨店より多くの来場者が見込め、販売チャンスが広がる」(幹部)と判断した。

   銀座では2016年3月、東急不動産が数寄屋橋交差点近くに商業ビル「東急プラザ銀座」をオープン。サッポロホールディングス傘下のサッポロ不動産開発は9月、東京・銀座4丁目交差点近くに商業ビル「銀座プレイス」を開設するなど、再開発が相次いでいる。

   山本社長は「GSIXを銀座変革の起爆剤にしたい」と語るが、脱百貨店の高級ブランド戦略が買い物客に歓迎されるか。来春以降の消費者の反応が注目される。

姉妹サイト