「銀座変革の起爆剤に」
J・フロントが今回、新たな商業施設に「松坂屋」の名称を用いず、百貨店からの転換を決断をした背景には、百貨店業界全体の不振がある。
百貨店業界は、昨(15)年まで売上げを牽引してきた訪日外国人観光客向けの販売が今年に入り激減。主力の婦人服などの衣料品事業も、個人消費の低迷で苦戦しており、日本百貨店協会が10月20日に発表した9月の全国百貨店売上高(既存店ベース)は前年同月比5.0%減と7か月連続でマイナスとなるなど、百貨店経営は不振が目立っている。
近年は大型ショッピングセンターや「ユニクロ」などの衣料専門店に顧客を奪われ、「百貨店というビジネスモデルは限界を迎えている」(アナリスト)とされる中、J・フロントは「銀座でも複合的な商業施設にリニューアルすれば、百貨店より多くの来場者が見込め、販売チャンスが広がる」(幹部)と判断した。
銀座では2016年3月、東急不動産が数寄屋橋交差点近くに商業ビル「東急プラザ銀座」をオープン。サッポロホールディングス傘下のサッポロ不動産開発は9月、東京・銀座4丁目交差点近くに商業ビル「銀座プレイス」を開設するなど、再開発が相次いでいる。
山本社長は「GSIXを銀座変革の起爆剤にしたい」と語るが、脱百貨店の高級ブランド戦略が買い物客に歓迎されるか。来春以降の消費者の反応が注目される。