採用面接で、LGBTであるとカミングアウトされた経験のある企業の現役人事担当者は、180人のうちの約2割にのぼることが、「LGBTマーケティングラボ」のインターネット調査でわかった。
広告代理店大手の電通のダイバーシティに対応する専門組織「電通ダイバーシティ・ラボ」によると、LGBTを含むセクシュアル・マイノリティに該当する人は7.6%(調査は2016年4月、全国6万9989人が対象)で、2012年の調査より2.4ポイント増えており、こうしたカミングアウトも珍しくなくなってきたようだ。
面接担当者の17%が経験との調査結果
「LGBT」は、レズビアン(Lesbian)、ゲイ(Gay)、バイセクシュアル(Bisexual)、トランスジェンダー(Transgender)の4つをいう。最近は日本でも、こうした人たちを前提として受け入れる企業や行政が増えてきたが、抵抗を覚える人たちが多いのも事実だ。
そのため、自分がLGBTであることをカミングアウトする人は少なく、LGBTで悩んでいることを誰にも相談できずにいる人も少なくないとみられる。電通ダイバーシティ・ラボによると、LGBTをカミングアウトした人は13人に1人の割合になる。
また、連合の「LGBTに関する職場の意識調査」(調査は2016年6月30日~7月4日、20~59歳の男女1000人が対象)によると、さまざまな職場で働いている人のうち、LGBT(セクシュアル・マイノリティ)の当事者は8%強で、「職場の人からLGBTであることをカミングアウトされた・カミングアウトしていると聞いたことがある人は6.6%だった。
管理職では受容度が高い半面、抵抗感などもやや高い傾向にあるという。
そうしたなか、LGBTマーケティングラボの「現役企業人事180人に聞いた『採用面接におけるLGBT』に関する意識調査(2016年9月5日~10月4日調査)によると、「採用面接時にカミングアウトを受けた経験があるか」との質問に、「Yes」が17.2%、「No」は82.8%で、約2割の人事担当者がカミングアウトを受けた経験があることがわかった。
この数字から、「意外に多い」と思った人は少なくないかもしれないが、それだけ社会的にLGBTへの偏見や認識不足が薄れ、またLGBTの当事者にとってはカミングアウトしやすい環境になってきたのかもしれない。
企業アナリストの大関暁夫氏は、「正直、こんなに多いとは思いませんでした」と驚く。ただ、その背景には「やはり、(LGBTを)個性として受け入れられてきたことと、就職した後に職場で負い目を感じたくない、こういう自分を受け入れてくれる企業でこそ働きたいという、就職に対する姿勢が大きく変わっているのだと思います」と話す。
ひと昔前であれば、自分のマイナスになるようなことは隠す、就職するためには自分を隠すような風潮があったが、そうしなくなったのは最近の「売り手市場」が影響しているのかもしれない。