早稲田大の学園祭で予定されている講演会イベントが開催前から「トラブル」に見舞われた。「在日特権を許さない市民の会」の元会長、桜井誠さんをゲストスピーカーに呼んだところ、「ヘイト」といった批判がネットで殺到。桜井さんの出演が見送られる事態となった。
イベントは、2016年7月末の都知事選に立候補した人々のトークセッションで、桜井さん個人にフォーカスしたものではなかった。
都知事選の立候補者によるトークセッション
桜井さんは、2016年11月5日に行われる早稲田大の学園祭イベント「若者よ!選挙に出よう」に出演する予定だった。企画したのは同大公認サークルの「早稲田大学 人物研究会」。
学園祭の公式サイトや人物研究会の公式ツイッターアカウントによると、イベント内容は桜井さんをはじめ、後藤輝樹さん、マック赤坂さん、立花孝志さん、高橋しょうごさんら計5人の東京都知事選立候補者を迎えてのトークセッションだ。
人物研究会は10月29日、
「『今年の東京都知事選挙の候補者の方々がなぜ選挙に出るのか?』というテーマを主眼に、候補者5名の方に『立候補』についてパネルトークをしていただく」
「メディアで取り上げられることの少ない主要3候補以外の方々がどのような経緯で都知事選に参加されたのか、言論の自由とはどういうことなのか、そういったテーマに関して幅広い議論の場となればと考えている」
と企画の趣旨をツイートしている。
しかし、これまで過激な街宣活動を繰り広げてきた桜井さんの出演が人物研究会の公式アカウントで告知されると、
「レイシズムに加担してどうするんですか」
「ヘイトがだんだんと蔓延して行く」
と批判が相次いだ。これを受け、人物研究会は同じ29日に「桜井さんの登壇に関してもこの講演の場において差別的発言などは一切行わないとお約束いただいた上でご出演いただいてます。 また、特定の政党や個人を支持するものではありません」とツイッターで弁明したものの、批判を抑えきれなかった。
結局、同日中に桜井さんの出演見送りを発表。「予想される事故や衝突などの危険性を鑑みた結果、私どもとしては来場者の皆様の安全性を第一に考えた上でこのような判断に至りました」と経緯を説明し、「このような事態に至る認識の甘さがありましたことをお詫び申し上げます」と謝罪した。なお、プログラム自体は、4人の出演者を迎えて予定通り開催されるという。
桜井誠「抗議という名の脅迫」
桜井さんも10月29日にブログで早稲田祭への出演を表明し、「皆様是非足をお運びください」と呼びかけていたが、31日のブログで、主催者の出演見送り決定に触れている。
ブログによると、出演告知の是非については、人物研究会側と複数回の話し合いが持たれたようだ。同研究会は「すぐにでも告知したい」と乗り気だったものの、桜井さんは自身に批判的な勢力が大学や同研究会を「脅迫」することを懸念。しかし、「自分たちで対応します」という同研究会の「力強い発言」を得たため、告知を決めたという。
だが、「抗議という名の脅迫」(桜井氏のブログ)が大学に相次ぎ、同研究会も出演見送りを余儀なくされたとしている。
桜井さんは同研究会の出演見送りという決定について、「想像できましたので、中止自体は余り驚かなかった」としつつも、「告知の当日に中止を決めるとは思いませんでした」と困惑を隠せない様子だ。今後、自身で所轄署に被害届を提出し、早稲田大学にも被害届を提出するように呼びかけるという。