ランチタイムの定番「とんかつ」。しかしその食べ方にはルールがあり、先に備え付けのキャベツを食べるのは超失礼な行為で、店への出入り禁止になってもおかしくないのだという。そんなとんかつマニアの発言がネット上でちょっとした騒動に発展している。
「そんな話は聞いたことがない」「マニアが勝手にルールを作るな」などとネット上で激しい反発を招いているが、実際のところはどうなのだろうか。
「カツを劣化させる行為」
騒動の発端はニュースサイト「しらべぇ」が2016年10月28日に配信した「とんかつ屋で最初にキャベツを食べるのはマナー違反とマニア激怒『超失礼』」という記事だ。とんかつマニアの豚山カツ夫さん(仮名)が登場し、揚げ物は、調理が終わってすぐが一番美味しいし、時間が立てばヒレカツは水っぽくなり、ロースカツは脂っこくなってしまう、と主張した。
「悠長にキャベツを食ってる時間はありません。寿司屋で出された寿司はすぐに食べるのが常識なのと一緒ですよ」
とし、キャベツを先に食べ、カツを劣化させる行為は、「出禁」になってもおかしくないマナー違反です、とまくし立てた。記事ではカツとキャベツを同時に食べるのが一番美味しい食べ方なのかもしれない、と結んでいる。
これに対しネット上で激しい反発が起きてしまった。そんなルールなど聞いたことがないとし、
「で、出たぁ~!?通ぶって勝手に考えた自分ルールをあたかも公のマナーだとか言い出す奴~っ!!」
「普通は野菜から食うんだよ馬鹿野郎」
「飯ぐらい好きに食わせろ」
などといった書き込みが掲示板に相次いだ。
確かにスーパーなどの惣菜と違って、出来立てをフーフー言いながら口に放り込むのはトンカツ店ならではの醍醐味だが、果たしてキャベツを先に食べてはいけないという暗黙のルールはあるのだろうか。
とんかつ人気店の見解は...
J-CASTニュースが16年10月31日にグルメサイト「食べログ」が公表している「東京都 とんかつランキングTOP100」の第一位に輝いている成蔵(高田馬場)に話を聞いてみたところ、豚山さんの主張には一理あるのだという。揚げたてのとんかつには余熱があり、そのまま置いておくとその余熱で肉が固くなり風味が変わってくるそうだ。
「食べ方にルールはありませんが、キャベツをずっと食べて時間が経過するとすれば、キャベツよりも先に出来立てのとんかつを食べてほしいというのが本音ですね」
と話していた。
同じくとんかつ専門店チェーン大手の「とんかつ和幸」に話を聞くと、
「何を先に食べるかはお客様の自由ですし、当社ではそのようなルールのお話はしておりません」
と同社広報は話していた。
「ミシュランガイド2015東京」で優良店として紹介された「すぎ田」(台東区寿)でも、
「そんな話は聞いたことがありませんし、ルールを設ける必要があるのでしょうか?」
と笑っていた。同じくミシュランで優良店として紹介された「自然坊」(大田区久が原)でも、
「当店ではそういうこだわりはありませんね。お客様のご自由にお召し上がりください」
ということだった。結論としては冷めないうちに美味しく召し上がれ、ということのようだ。