ママの子育て自慢SNSは信じるな プロ直伝・育児で疲れ切らないコツ

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【すくすく子育て】(Eテレ)2016年10月22日放送
「育児疲れ」

   一人きりの育児で近くに誰も頼れる人がいない、周りのママたちは上手にできているのに自分だけなぜこんなに大変か、つい子供に当たってしまい自己嫌悪に...。

   育児をしていれば、誰もが一度は経験するだろう「育児疲れ」。番組では、辛さを抱えるママたちをスタジオに招き、生活スタイルを考えた。

  • お母さんは毎日大変なんです
    お母さんは毎日大変なんです
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子供を預けるのは教育費の一部だと考えて

   神奈川県に住む大木さんの悩みは「近くに頼れる人がいない」。

   夫婦とも広島県出身で、出産後今の住まいに引っ越してきた。近所には親戚や親しい友人がいない。

   育児が自分の仕事だから頑張らなくてはと思う半面、いざという時に頼れる人が夫だけなのは心細い。疲れがたまった時に「しんどい」と思ってしまう。

   1歳9か月の娘・綾乃ちゃんは、家でも外でも母親の自分から離れない。延々と娘の遊びに付き合い、疲れてイラッとしてしまう時もある。

大木さん「本当に欲しくて欲しくて子供を授かったから、イライラしたりしないだろうと思っていたけれど、実際に子育てしていると、疲れてくるとイライラする。子供にとってはどうなのかと感じる。イライラしている自分が良くないんじゃないかと」

   武庫川女子大学・倉石哲也教授によると、大木さんのように地元を離れ、身近に頼れる人がいない環境での育児を「アウェイ育児」という。NPO法人「子育てひろば全国連絡協議会」の調査では、「あなたが育った市区町村で現在子育てをしていますか?」という質問に対し、「いいえ」と答えた親が72.1%だった。

恵泉女学園大学・大日向雅美学長「一時預かりやファミリーサポートを使うなど、地域でサポーターを見つけるとよい。ママだけでなく、色んな人に守られて子供の社会経験が広がる。贅沢ではない、教育費の一部だと思って。ママはリラックスでき、子供のためにもよい。地域の人に上手に甘えたらよいと思う」

   離れるとすぐに泣いてしまうので、そんな状態で預けても大丈夫なのか、と大木さんは気にしている。

倉石氏「子供は離れる時とお迎えに行った時に泣くが、離れている間はご機嫌に遊んでいたりする。泣くのは母親との関係が強くなっているということだから、逆に離れても大丈夫と思ってもよい」
大日向氏「地域の人に預けると、町に出ると『大きくなったわね』など声をかけてくれる。見守ってくれる人を地域に増やすと、子供の安全にもつながる」

   自分とは違う考え方を知り、大木さんは「たまには預けようか」と前向きに考え始めたようだ。

育児は「比較しない」が大原則

   東京都の佐野さんは、「上手くいかないのは私だけ?」と悩んでいる。

   6か月の娘・永実(えいみ)ちゃんには、今も2~3時間おきに授乳し、まとまった睡眠時間が取れないでいる。子供を持つ友達がいないため、情報収集にSNSを利用しているが、他のママの書き込みや写真を見て落ち込む時も。

佐野さん「自分は寝かしつけに平気で3時間かかる。他のママさんが『もう寝かしつけてひとり時間を楽しんでいます』みたいな投稿をしていると、比べても仕方ないと頭ではわかっているんですけど...」

   大日向氏は「嘘だと思いましょう」と大胆提言。「SNSにはいい所しか出さないでしょ。たまにいいショットがあるから載せたくなるんですよ」

倉石氏「SNSは自己満足じゃないですか。他人の自己満足に付き合わなくてもいいと思う。育児は『比較しない』が大原則。比較してしまうような状態になっているなら、SNSを見るのをやめるなど、自分でブレーキをかけるようにして」

   育児疲れの悩みや愚痴をSNSでこぼしたい時もあるという佐野さんだが、子供が欲しくてもいないという人に「子供がいるだけでうらやましい」「仕事も辛いのに」などと思われてしまいそうで、それもできないという。

倉石氏「楽しい話はSNSでしたらよいが、辛い、しんどいという話は直接するのがよいと思う。家族や、広場などで同じような立場の人に。愚痴は大人の甘えの行為なので、とても大事」

ママではない自分も大事

   東京都の渡邉さんは、辛い時に子供に当たってしまい自己嫌悪に陥っている。

   夫の転勤で社宅に引っ越してきたばかりで、周囲は単身者ばかり。平日の昼間は、ほとんど10か月の息子・陽太(ひなた)くんと二人きりだ。

   陽太くんはとても甘えん坊で、ママの姿が見えなくなるとすぐに泣いてしまう。

渡邊さん「外に行って、みんなで遊んで欲しいと自分から離した瞬間『ギャー』と泣き始める。泣くだろうと心構えしていても、繰り返されるとストレスになってしまう」

   時折気持ちに余裕がなくなり、子供に大声を上げてしまう。その後は自己嫌悪に陥る。

   夫は仕事が休みの日は子供の面倒を見てくれるが、その間に1週間分の料理の下ごしらえをしたり、掃除をしたりと、リフレッシュはできていない。

大日向氏「子供が泣く声が耐えられない、かわいそう、早く行ってあげたいと思うのは大切な感性。自信を持って、時々『小爆発』をしましょう。怒っていいんです。追い掛け回されて泣かれて、イラッとしないママなんて人間じゃないと思う。ママの素直な感情を受け取る、怒る人のエネルギーを感じるのも子供の成長に必要。いつも笑顔でいるなんて人形みたいで、子供の発達に決していいことではない。ただ、叩いたり3日前のことまで引きずり出したりするなど、感情的に叱るのは良くない。感情を込めて怒るのと区別を付けて」
倉石氏「イライラしている時は体が緊張していたり、呼吸が浅くなっていたりする。怒った、怒りそうだと思った時は深呼吸や屈伸をしてみると気持ちが落ち着く。1日15分でも30分でも、子供が寝た後でも自分の時間を作ってセルフケアして」

   「子供がいるんだから自分の時間はなくて当然だ」と思っていたという渡邊さん。

大日向氏「ママになったんだから自分のことは100%忘れなくちゃいけないなんて思わないで。女性であったり妻であったり、一人の人間としての部分も大事にしながら、そこにママが加わったと思うと楽になれると思う。ママがゆったりする姿は子供にとってもよい。これからは別の自分を探していいんです」

   三者の悩みを聞いて、番組MCのアンガールズ・山根良顕も、一児の父として思うところがあったようだ。

山根「パパには頼った方がいい。ママが言ってくれれば何とか対処しようとするから。パパにぶつけた方が子供にぶつけなくなるだろうし、世のパパはそれくらいは耐える覚悟があると信じています」
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