子どものランドセルは、昔に比べて色の種類が大幅に増えた。それでも「男の子は黒、女の子は赤」のイメージは根強い。赤いランドセルを背負った男の子はあまり見かけないという人がほとんどだろう。
だが、インターネットの質問投稿サイトで、ある幼稚園男児の母親が「子どもが『ランドセルは赤』と言って譲らない」と悩みを相談した。
「赤いランドセルは女の子のイメージが強すぎる」
年少の息子を持つ母親が、子育て情報サイト「こどモン」に相談を持ちかけたのは2016年3月8日。この男児は赤色が好きで、洋服や小物は必ず赤を選んでおり、ランドセルも赤を欲しがっているという。だが、「赤いランドセルは女の子のイメージが強すぎ」ることや、相談者が住む近所では赤いランドセルを背負った男の子を見かけないことから、「どうしようと少し困っています」と打ち明け、意見を求めた。
回答には、赤いランドセルの男の子は「見たことない」「はっきり言って皆無」とする意見が多い。男児の場合、黒以外で見かけるのは「紺または濃いブルーくらい」という答えもある。
このやり取りが10月18日にツイッターで紹介されると、28日までに1万4000件以上リツイートされて議論になった。
「色の好みなんてのは人それぞれ」
「今の子たちはさぁ、ランドセルの色選択肢いっぱいあるんだから好きなの選んでもいいじゃない」
と自由尊重派や、
「入学してから、みんなと同じ色が良かった...って結局なる」
「男の子の赤ランドセル回避させたい親の気持ちもわかる」
と、相談者に理解を示す声もある。
ランドセルの色の種類は、ここ十数年で増えている。ランドセルの販売を手がけるイオンリテールの広報部担当者にJ-CASTヘルスケアが取材すると、同社では「2001年から24色展開している」という。「デザインや色味の幅を広げてほしい」と多くの客から要望があったためだ。現在でも男子には黒色が定番なのは変わらないが、「黒をベースに赤いラインやステッチが入ったものも売れている」ほか、「紺や青も『かっこいい』と人気が出ている」という。それでも、男子で赤いランドセルを買う客は「ほとんどいない」。
男子で紺20%、緑8%、茶・青9%ずつ、赤は...?
育児情報サイト「はぴはぴ」では、小学生男子の母親55人、女子の母親45人に「子どものランドセルは何色か」のアンケートを取り、2014年7月28日に結果を公開した。男子の母の間では、最多が「黒」の20人(36%)で、「紺」11人(20%)、「緑」8人(15%)、「茶」「青」が5人(9%)ずつ、と続いた。「赤」はゼロだった。なお、女子の母には「黒」が2人(4%)いた。
色のバリエーションは増えているのに、男子で赤いランドセルは皆無に近い。一方、黒ベースに一部赤色が入ったランドセルは売れており、ランドセルブランド「天使のはね」の中では「男子の人気ナンバー1」とウェブサイトに記載がある。
派手な色は男子に好まれないのだろうか。「天使のはね」ブランドを展開するセイバン(本社・兵庫県たつの市)のマーケティング部担当者に話を聞いたが、「そんなことはないですよ。マニッシュグレーやマリンブルーといった、明るめの色も男の子に人気です」という。ただ、
「色の選択肢が増えてきたためか、何度も店舗に足を運び、検討に時間をかけるお客様が多くなっています。その中で、最初の来店時は『赤が良い』と仰っていたのが、次の時には『青が良い』となっているなど、結構コロコロと変わるお子様も多いです」
という。在学中に買い替える客はほとんどおらず、「皆さま、何度も相談し、6年間使うんだという覚悟を親子でされてからお買い上げになっています」とのことだ。
女性向け掲示板サイト「発言小町」にも6月20日、「男の子のランドセルは何色でしょうか」と相談を持ちかけたユーザーがいた。回答には、「赤は女の子の色」というイメージを持つユーザーが多く、赤いランドセルを欲しがる息子に背負わせて
「『やっぱり女の子の色だと思うなぁ。』と言ったら納得してくれました」
「赤に興味を示しましたけど、赤は候補から外しました」
といった経験談が、男児の母親と思われるユーザーから投稿されていた。