NHK受信料、マンスリーマンションの死角 ホテルのテレビとどう違う

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

   「マンスリーマンション」に入居した20代の男性が、NHKに受信料を不当に支払わされたとして受信料の返還を求めた訴訟の判決が2016年10月27日、東京地裁であった。

   東京地裁(佐久間健吉裁判長)は、入居していた男性に、受信料1310円の返金を認める判決を下した。

  • テレビ付きのマンスリーマンション、入居者はNHKの受信料を支払う必要があるのか?
    テレビ付きのマンスリーマンション、入居者はNHKの受信料を支払う必要があるのか?
  • テレビ付きのマンスリーマンション、入居者はNHKの受信料を支払う必要があるのか?

レオパレス21入居1カ月で1310円

   ここ数年、マンスリーマンションの利用は増えている。短期赴任のビジネスパーソンや、地方に住む受験生が試験期間中にちょっと借りて住むにはちょうどいいからだ。

   アパート・マンションなどの建築・賃貸管理大手のレオパレス21によると、同社が取り扱っている物件は現在、全体で約56万戸にのぼり、「そのほとんどでマンスリー契約を利用できます」という。マンスリー契約数は2016年6月末時点で約5万1000件にのぼり、全体の約10%にあたる。「最短は1か月ですが、『学割』サービスもあり、学生が2年契約などで利用するケースもあります」と話す。

   冷蔵庫や洗濯機、電子レンジ、テーブルとイス、エアコンに寝具も一式そろっていて、すぐに入居できる。インターネットも使えるし、もちろんテレビも備え付けてある。

   そんなマンスリーマンションに33日間住んだ男性が、NHKに入居期間中に支払った受信料を返してほしいと訴えた。

   原告の男性は福岡県在住で、仕事の都合で2015年10月から兵庫県内にあるレオパレス21の物件(30日~100日の短期プラン)に会社名義で入居した。そこにNHKの集金人が訪ねてきて「受信契約を結ぶ義務がある」と説明。執拗に契約を迫られ、サインさせられたうえ、2か月分の受信料2620円を支払ったとされる。

   男性が11月20日に退去したため、NHKは1か月分の受信料1310円を返したが、男性はテレビを設置したのがレオパレス21であることから、自分に支払い義務はないとして、残る1か月分の受信料も返還するよう求めていた。

   放送法64条1項は、「放送を受信できる受信設備を設置した者」に受信契約の義務があると定めている。あらかじめテレビが備え付けられたマンスリーマンションの入居者が「受信設備を設置した者」に当たるかどうかが争点で、男性は短期間の宿泊施設として利用されるホテルでは、ホテル側が受信料を支払っていることを例にあげていたという。

   つまり、男性はNHKの受信料は入居者が支払うべきものではなく、設置したレオパレス21が支払うべきもの、という認識だ。

NHK控訴で、マンション業者「成り行き見守る」

   一方、男性の主張に対して、NHKは「受益者負担」の観点から、テレビを現実に占有・管理している入居者が「実質的な受信設備を設置した者」に当たると反論していた。

   レオパレス21によると、同社の物件では空室の場合、NHKの受信料は支払っておらず、受信契約は入居者がNHKと結び、受信料を支払うようになっていることもある。

   NHKによると、マンスリーマンションの入居者への受信料の徴収は「これまでも同じように、入居者に負担してもらっていました」と話し、今回の男性が特別なことではないという。

   東京地裁(佐久間健吉裁判長)は2016年10月27日、「物理的・客観的に放送を受信できる状態を作出した者」に支払いの義務があると判断。入居していた男性に受信料1310円の返金を認める判決を下したが、この判決を受けて、NHKは「契約を締結する義務が居住者側にあることを引き続き2審でも訴えていきます」と、控訴する意向を示している。

   インターネットには

「NHKがまともで国民の支持を得ているなら、こんな判決にはならなかっただろうな」
    「入居者だろうと、レオパレスだろうと、NHKは受信料がとれりゃあいいんじぇねえの?」
    「これはトンデモ判決だな。マンスリーは利用者多いからな。きっと返金訴訟増えるだろうからNHKいいきみだなw」

といったNHKへの批判の声が少なくない。

   なかには、

「これって・・・レオパレスが最初から払ってないのがおかしいんじゃね」
    「NHKよりもレオパレスのほうが困るだろ。テレビはずしちゃうかwww」

   レオパレス21は、「テレビはほぼすべての物件に設置しています。判決は昨日(10月27日)下りたばかりですし、また当社への判決でもありませんが、今後については何らかの対応が求められる可能性はあるかもしれません。(NHKが控訴することから)今のところ、今後の裁判の成り行きを見守るしかありません」と話している。

姉妹サイト