先日、記者は電車内であまり見慣れない場面に遭遇した。とある駅から乗ってきた老人がドア付近で折り畳み式の椅子を広げ、おもむろに腰を下ろしたのだ。
そこでツイッター等で調べてみると、持ち込んだ椅子に座る乗客を見たという投稿がいくつも見つかった。こうしたケースはけっこうあるようだ。椅子を持っていること自体に問題はなさそうだが、車内で座るのは「アリ」なのか「ナシ」なのか。
パイプ椅子、丸椅子の目撃情報も...
記者が老人を目撃したのは、通勤ラッシュを少し過ぎた関東地方のJR某線。車内は立っている乗客がチラホラいる程度で、通路やドア付近にはゆとりがあった。老人はドア付近に折り畳み式で高さ30センチほどの椅子を置き、杖で体を支えながらゆっくりと腰かけた。
周囲の乗客はそちらを一瞥するも、席を譲る者はない。老人も優先席の方へ行くことはしなかった。十数分後、ようやく近くの席が空くと、老人は「臨時」の椅子を畳んでそちらへ移動した。慣れた様子から、今回が初めてでないことがうかがえた。
リュックやスーツケースに腰かける人はしばしば見かけるが、「マイチェア」を持ち込む乗客というのはどれくらいいるのだろう。ツイッター等には、
「折り畳み式の椅子を持ち込み、入り口前を陣取り座っている強者がおった」
「東上線で折りたたみの椅子でふんぞり返って邪魔なおじさんがいる...」
「電車で、丸椅子あるんだって思ってたら、使っている人の持ち込みだった」
「丸ノ内線、超混雑してる車両の端っこにパイプ椅子配置して涼しい顔で座ってる訓練されたOLがいる」
といった目撃情報が何個も投稿されている。それによれば、アウトドア用からパイプ椅子、丸椅子までさまざまなバリエーションがあるようだ。
JR東もメトロも「規定内なら持ち込み可能」
椅子の持ち込みについて鉄道会社はどのように考えているのだろうか。
JR東日本に話を聞いてみると「規定されている手回り品の範囲であれば、持ち込むことに問題はありません」(広報担当者)とのこと。
同社では「携帯できる荷物で、タテ・ヨコ・高さの合計が250センチ(長さは2メートルまで)以内で、重さが30キロ以内のものを2個まで持ち込むことができる」としている。ただし、危険品や臭気を発するものなどは持ち込み禁止だ。この規定をクリアしていれば、椅子も問題なく持ち込めるということになる。
さらに、車内で椅子に座ることについて聞いてみると、「ホーム上を含め、危険が認められる場合は駅員や車掌からお声がけさせてもらいます」とした。
東京メトロも、持ち込みに関しては「規定内であれば、持ち込みは可能です」(広報担当者)と説明した。その上で車内での使用については、「椅子の使用についての取り決めはありませんが、他のお客様のご迷惑にならないようにしていただきたいです」と話した。
記者が見かけた老人は周囲に迷惑をかけている事はなかったが、目撃ツイートを見る限りは、混雑時に使用しているような例もあるようだ。また、カーブに差し掛かった場合や電車が急停止した場合などは、座っている本人が危ない目に遭う可能性もある。