慶大生らの集団暴行疑惑について行った報道について、テレ朝系情報番組「モーニングショー」が2016年10月27日の放送で、いくつもの問題点を自ら挙げて謝罪した。
モーニングショーでは、10月20日の放送で、慶応大学広告学研究会メンバーの男子学生らが懇親会で10代女性に性的暴行をしていたとされる疑惑を取り上げ、研究会の現役やOBの証言を紹介していた。
女性のラインやり取りまで番組で再現
これに対し、女性の弁護士が「被害者の同意があったと誤認させる表現などがあり看過できない」とテレ朝に抗議したと報じられていた。
テレ朝は、この抗議に真摯に対応するとマスコミ取材にコメントしていたが、27日の放送で2分ほどにわたって報道について説明した。
宇賀なつみアナが今回のことを切り出し、テレ朝の報道は広告学研究会の関係者の所感のみを伝えており、客観性に欠けていたと認めた。
報道では、メンバーらが集団強姦でない証拠だとして女性のライン画面などを集めているとし、番組内でラインのやり取りまで再現していた。これに対し、宇賀アナは、「女性のプライバシー保護の観点から適切ではありませんでした」として、客観性の点も含めて女性への配慮に欠けたと謝罪した。
続いて、司会の羽鳥慎一さんは、女性の弁護士がメンバーらの情報収集について「学内における被害女性の特定につながる恐れがある行為であり、2次被害そのもの」とコメントしていると明かし、「私たちの放送も、女性にとって非常に辛い気持ちにさせるものだったというふうに感じています」と報道による2次被害の可能性を認めた。
事件性「確認できず」を「なし」と解釈
10月20日の放送では、大学の聞き取り調査で当時の行為を映した動画も大学が確認しており、大学が事件性はないと判断しているとする広告学研究会のメンバーらの証言を紹介した。慶大では、「事件性は確認できていない」とコメントしているだけだったが、このコメントについても「事件性なし」と勝手に解釈して何度も繰り返していた。
さらに、研究会OBらの話として、リーダー格の学生が無期停学になっているとも報じた。
これに対し、27日の放送で宇賀アナは、改めて大学に取材したところ、動画は確認しておらず、事件性なしとも判断していない、停学処分を行ったというのは事実と違うと回答されたと明かした。そのうえで、「この問題については、現在警察が捜査しています。そうした中で、私たちの報道ももっと丁寧にするべきでした」と締めくくった。
今回の放送について、ニュースのコメント欄では、「きちんと謝罪があったことは良い」と評価する声もあるが、「最初から配慮すべきだった」「何でも報道すりゃいいってもんじゃない」と厳しい声が上がっている。