人気特撮作品『ウルトラマン』シリーズの怪獣デザインを手掛けた、美術監督の池谷仙克(いけや・のりよし)さんが2016年10月25日、がんで亡くなった。76歳だった。池谷さんが所属していた「池谷事務所」が27日のJ-CASTニュースの取材に明かした。
『ウルトラセブン』や『帰ってきたウルトラマン』の特殊美術チーフを担当し、「ツインテール」「タッコング」「グドン」といった個性的なウルトラ怪獣を何体も生み出した。
日本アカデミー賞2度受賞
東京都八王子市に1940年に生まれた。1966年に武蔵野美術大学を卒業後、円谷プロに入社。同年放送の『ウルトラマン』で特殊美術助手を務めた後、67年の『ウルトラセブン』後期(31話から)でチーフデザイナーとなった。68年に退社したが、その後も『帰ってきたウルトラマン』『君待てども』など円谷プロ作品の美術監督を務めた。
円谷プロ退社後は一般映画の美術も手掛け、鈴木清純氏や故・寺山修司氏の監督作品に参加した。1993年公開の『写楽』(篠田正浩監督)、98年公開の『瀬戸内ムーンライトセレナーデ』(同)で日本アカデミー賞最優秀美術監督賞を2度受賞している。
「池谷事務所」の代表取締役社長の岡本史雄さんは27日の取材に、
「池谷といえば『怪獣』で有名でしたが、最近は一般映画に注力していました。今年(16年)9月の頭まで作品制作に携わるなど元気な姿を見せていましたので、ただただ驚いています」
と突然の訃報を惜しんだ。通夜・葬儀は既に近親者のみの家族葬でとり行われ、近々に一般のファンも対象とした「お別れの会」を開く予定だという。場所や日時は未定。
ツインテール、タッコング、バキュミラー、グドン
池谷さんの訃報については、『ウルトラセブン』で友里アンヌ役を務めた女優のひし美ゆり子さん(69)が25日夜のブログで伝えていたため、すでにネット上では特撮ファンを中心に悲しみの声が広がっている。ツイッターやネット掲示板には、
「素晴らしい怪獣デザインの数々をありがとうございました。ツインテールは初見から今に至るまで脳裏に焼き付いています」
「(池谷)氏のデザインした怪獣宇宙人に魅了された者として深い悲しみに包まれています」
「池谷先生の怪獣はどれも温かみのあるデザインで昔から大好きだった」
などといったコメントが数多く出ている。
さらに、ツイッター上ではハッシュタグ「好きな池谷怪獣宇宙人」も拡散されており、「そりゃもうバキュミラーでしょ」「タッコングは衝撃だったなあ」「グドンとアーストロン」などと、池谷さんが手掛けた怪獣や宇宙人の姿を懐かしむファンも出ていた。