健康食品販売の「ユーグレナ」と同社グループの「植物ハイテック研究所」は2016年10月24日、アフリカ原産の野生のスイカ「カラハリスイカ」のしぼり汁にインフルエンザウイルスの増殖を抑える効果があることを突きとめたと発表した。
この研究は、同年10月22日に開かれた日本栄養・食糧学会近畿支部大会でも報告された。
収穫後2~3年間放置しても腐らないパワー
ユーグレナの発表資料によると、カラハリスイカはアフリカ南西部のナミビア共和国にあるカラハリ砂漠に自生しているスイカだ。乾燥に非常に強く、水分をたっぷり果実の中にため込むため、「砂漠の水がめ」と呼ばれている。現地の遊牧民族サン族の人々は、食料や飲み水だけでなく、体を洗う生活用水にも活用している。
太陽の強い紫外線を浴びても枯れないどころか、果実を収穫した後2~3年間、常温で保存しても腐らない。「シトルリン」という非常に強い抗酸化力があるアミノ酸の有効成分が豊富に含まれており、紫外線と活性酸素の働きを抑えているからだ。
研究チームは、このシトルリンがインフルエンザウイルスの増殖を抑える効果があるかどうかを調べるため、イヌの腎細胞にウイルスを吸着させ、濃度の異なるカラハリスイカのしぼり汁を浸した培地にそれぞれ入れて培養した。その結果、濃度が増すほどウイルスの増殖が抑えられた。たとえば、しぼり汁の濃度が0.6%ではウイルス増殖阻害率は5.9%しかないが、濃度2.5%では阻害率が54.1%、濃度5.0%では阻害率が85.9%に上昇した。
研究チームでは、資料の中で「ワクチンや数種の抗インフルエンザ薬が開発されていますが、新型ウイルスの出現や神経系等への副作用などの問題があります。インフルエンザ対策に、カラハリスイカのしぼり汁を活用することを目指し研究を進めていきたい」とコメントしている。