牧場乳しぼり体験の牛、「ストレス死」ではなかった 飼育担当の「反論」ツイッターが波紋

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1頭はケガによる安楽死、別の1頭は売却

   ところが、この記事と牧場側の発表文に対して、この牧場の飼育係と名乗る従業員が20日にツイッターを開設し、反論を出した。ツイッターでは

「なんでこんなデマが記事になってしまっているのが。 本当のことは牛の担当しか知らない」

などと、牛が死んだのはストレスでも、過労でも、虐待でも、乳房炎でもない、と説明。

「毎日たくさんのお客様に触れ合っていただいているので、人間は怖くありません。 乳搾り中もリラクックスしてはんすう(ごはんの噛み戻し)をしています」

と反論した。

   こうしたツイートを始めることにしたのは、この記事によって牧場や従業員への批判が起きていること。そして牧場を訪れてくれたお客さんが「ごめんなさい」と謝っているのを見つけたからだという。牧場には内緒で内情を書いたため、投稿主は「ばれないといいなぁ」などと心配していたが、24日になって「さー、呼び出されたゾ」と報告した。このため、インターネットでは、「牛のストレス死はデマだった」と騒ぎになった。

   J-CASTニュースが24日に「伊香保グリーン牧場」に取材したところ、乳牛4頭のうち2頭減った原因は、1頭が怪我による安楽死で、もう1頭は他の牧場に売却したもので、ストレス死とは違うのだという。

   また、「うしの乳しぼり体験」をやめるそもそもの理由は、15年4月に経営悪化のため酪農を休止したこと。乳牛は当初は数十頭いて、体験会に出す牛は体調を見ながらローテーションで出していたが、4頭しかいなくなったため、続けていくのは現実的ではないと判断したからだ、という。

   ただ、体験会に出した牛がストレスを感じ、乳房炎になりやすいのではないかという懸念があったのも事実だとしており、ホームページには、そうした「懸念」を書いたのだという。

   J-CASTニュースは10月25日、毎日新聞に、どうしてこのような記事になってしまったのか、聞いたところ、記事の一部に誤りがあったことを認め、16年10月26日の夕刊に訂正記事を出す予定だと回答した。既にネットに配信した記事は修正していて、「モーやめ...ストレス死相次ぎ 群馬の観光牧場」という見出しが「モーやめ...ストレス配慮し 群馬の観光牧場」に変更している。同社社長室広報担当の回答によれば、グリーン牧場側は当初、「2頭の乳牛が乳房炎などの病気で死んだ」と説明していて、その後、牧場側から「こちらの確認不足だった。牛の飼育担当者に確認したが、事実が違っていた。1頭は骨折に伴い安楽死させ、もう1頭は他の牧場へ売却された」との訂正があった。ただし、「牛のストレスに配慮して乳搾り体験を終了した」という部分については牧場側が述べた通りだとしている。

   一方、牧場側は16年10月24日にJ-CASTニュースが取材した際、

「このような記事が出たのはこちら側にも責任があり、しっかりと情報を伝えることができなかった」

としていた。また、「こんなデマが記事に」などとつぶやいていた従業員に対しては、不適切な発言としてきつく叱った、とし、そのツイッターも10月25日までにアカウントを停止し見ることができなくなっている。

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