医師とコンピューターがガチで対決 「病名判定」大差で勝ったのは?

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   囲碁や将棋の世界では、コンピューターがプロ棋士を破るケースが珍しくなくなったが、医療の世界では医師とコンピューターではどちらが正確な診断を下すことができるのだろうか。

   今のところ本物の医師の方が診断の精度でははるかに優れているという研究を米ハーバード大学のチームがまとめ、米医師会専門誌「JAMA Internal Medicine(内科学)」(電子版)の2016年10月11日号に発表した。

  • コンピューターより生身の医師に信頼を
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東京大学の人工知能は白血病患者の命を救った

   コンピューターによる診断の研究は各国で進んでおり、日本でも2016年8月に東京大学医科学研究所が、米IBM製の人工知能「ワトソン」が特殊な白血病患者の病名を10分ほどで見抜き、生命を救うことに成功したと発表した。8月4日付共同通信、読売新聞、NHKなど大手メディアによると、「ワトソン」は米国のクイズ番組で人間のチャンピオンを破ったことで名を高めた。東京大学は「ワトソン」に約2000万件のがん研究の論文を学習させ鍛えあげた。

   白血病患者は、急性骨髄性白血病と診断され入院したが、2種類の抗がん剤が効かずに命の危険が出た。そこで、「ワトソン」に患者のデータを入力すると、白血病のタイプを正確に分析、違う抗がん剤を提案して回復に導いた。

   ハーバード大学の論文を報道した医療ニュースサイト「Health Day」の2016年10月11日付によると、研究チームは234人の医師と、代表的な23種類の症状を学習したコンピューター・プログラムを対決させた。症状チェックプログラムは、米の主要病院や米小児科学会などがウェブサイトで提供しているものや、iPhoneや米グーグルの基本ソフト「アンドロイド」を搭載したスマートフォンのアプリを使った。

「いつかは医師と同じレベルで診断を下す日がくる?」

   仮想の患者の症状45例を示して、何の病名かを判定するよう求めた。その結果、医師は72%の確率ですぐに正しい診断を下したが、プログラムは半分以下の34%だった。診断名を3つまで挙げることができる条件下でも、医師の方の成績が高く、3つの中に1つでも正解があった確率は医師が84%、プログラムが51%だった。結膜炎や副鼻腔炎など簡単な疾患では両者の成績は変わらなかったが、複雑な症状がからむ疾患では医師は79%、プログラムは24%と3倍以上の開きが出た。

   今回の結果について、研究チームのアチーブ・メヘロートラ博士は、「Health Day」の取材に対し、こう語っている。

「いつかは医師と同じレベルで診断を下す日がくるかもしれませんが、現段階ではコンピューターは医師の判断を補助するものにとどまっています。プログラムの精度が上がれば、気になる症状がある人が受診の必要があるかどうかを判断する助けになるでしょう。『問題はない』と帰されることがよくあるので、患者は無駄足を踏まなくてすむし、医師も時間を有効に使うことができます」
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