宇都宮市内で相次いで爆発があった事件で、自殺した栗原敏勝容疑者(72)は、家庭内トラブルでの立場が社会に受け入れられないことの不当性をSNS上で訴え続けていた。一体何があったのか。
「冤罪DVを晴らす道は自力救済しかありません」「命と引き換えに冤罪DVを証明するしかありません」
「離婚の慰謝料で預貯金、車、自宅も差し押さえ」
これは栗原容疑者が事件の半年前、自ら投稿した3分強のユーチューブ動画に映し出した最後の書き込みだ。とすると、少なくともこのときぐらいから爆発物を準備していた可能性があることになる。
この事件では、栗原容疑者は2016年10月23日昼前、自宅のほか、自らの車、そして最後には、自身の体を爆破したとされており、自爆では、中学生を含む3人が重軽傷を負う惨事になった。報道によると、金属片が40メートル先まで飛散し、付近からビー玉も見つかったという。無差別殺傷を狙った可能性もあり、栃木県警では、殺人未遂事件として動機の解明を進めている。
栗原容疑者は、1999年に陸上自衛隊を定年退官したが、そのころから家庭内トラブルに悩まされていたようだ。自らのブログやフェイスブックなどによると、娘の1人が精神的な病と診断され、妻は宗教に救いを求めるようになって、次第に険悪な関係になったとしている。
真偽はよく分からないままだが、栗原容疑者は、妻が退職金など数千万円を治療だとして宗教に注ぎ込み、それを巡って口論になったと主張する。一方、妻らとは、5年前に別居して一人暮らしになり、DV被害も受けたと民事訴訟まで起こされた。栗原容疑者は、娘の妄想行為を止めるためなどだったと主張し、妻からも暴力を受けそうになったと訴えた。しかし、宇都宮家裁で敗訴し、最高裁でも訴えが棄却された。そのうえ、離婚の慰謝料などとして、預貯金や自宅、車まで差し押さえられてしまったと訴えている。