2016年10月23日投開票された衆院東京10区と福岡6区の補選は、事実上自民党が2勝した。その両方の応援に入っていたのが東京都の小池百合子知事で、「選挙に強い小池」を裏付けた。特に東京10区では、当選した若狭勝氏(59)が、都知事に転出した小池氏の「後継」として終始有利に戦いを進めた。
今後、焦点になりそうなのが、小池氏が「7人の侍」と呼ぶ、自民党所属の豊島区と練馬区の区議7人の処遇だ。都知事選で党の方針に反して小池氏を支援したとして、党都連は7人に対して離党勧告の処分を下しており、応じなければ除名処分にするとしている。若狭氏は以前から処分に反発しており、離党の可能性も示唆。小池氏の「政治塾」にも4000人以上の応募があったことが明らかになったばかりだ。自民党は小池氏との距離を縮めたい考えだが、対応を誤れば「小池新党」への動きを加速させかねない。
若狭氏は7人を除名すれば離党も辞さない構え
7人をめぐっては、都連が9月16日に離党勧告処分にすることを決定。10月30日までに離党に応じなければ除名するという内容だ。自民党は9月26日に若狭氏を公認し、直後に若狭氏は7人が処分された場合は離党も辞さない構えを明らかにしていた。
東京10区の補選は、まさに「小池氏の選挙」だった。共同通信社の出口調査によると、7月の都知事選で小池氏に投票した人のうち74.4%が若狭氏に投票している。都知事選で小池氏を支援した「7人の侍」は、今回の補選では若狭氏陣営を主導した。補選で小池氏と若狭氏の存在感が高まったのは確実で、それだけに今後の7人の処遇が注目されるわけだ。都連会長を務める下村博文幹事長代行は23日夜の若狭氏の当確後に
「選挙が終わった後の結果をよく検証しながら、処分についても、新執行部としても対処についてはこれから考えたいと思う」
などと含みを持たせた。翌24日には二階俊博幹事長と若狭氏が会談。2人が並んで囲み取材を受ける中で、若狭氏は
「適切に対応していただけるものと強く期待しておりますので...」
などと繰り返し処分の見直しを求める一方で、二階氏は
「一挙に解決、ということが無理じゃないか」
と話した。処分見直しを「即断」とはいかないようだが、離党期限の10月30日までに何らかの動きがある可能性もある。
政治塾は「ある種の受け皿」
今後注目されそうなのが、「小池新党」をめぐる動きだ。小池氏は23日夜、勝利に沸く若狭氏の事務所で、10月30日開講予定の政治塾「希望の塾」について
「まだ最終的に数えていないが、4000人を超える方がご参加の見込み」
と話した。この4000人が新党結成時のメンバー、ひいては候補者になる可能性もありそうだが、小池氏は10月21日の定例会見で、政治塾の位置づけについて
「都知事選での大きなうねりの中で学ぼうという方が出てこられた。たくさんおられるということで、ある種の受け皿といった意味で、学びの場として作らせていただいたもの。それ以上でも以下でもない」
と説明。現時点では政治塾と新党は直接はリンクしないとの立場だ。
若狭氏は10月23日夜の会見で、新党への参加について、自民党公認で当選したことから、
「参加するという気持ちは今のところはない」
とした。