安土桃山時代の茶人大名、古田織部をフィーチャーした菓子メーカー「フルタ製菓」(大阪市生野区)のテレビCMが話題を呼んでいる。
実在の肖像画を動かし、目から光線を発射させたり、ウインクさせたり、頬を赤くさせたりとやりたい放題。遊び心満載の演出に仕上がっている。そもそも、なぜ古田織部をCMに起用したのか、同社に聞いた。
創業者の古田氏との関係は...
古田織部は、正式には「古田織部正重然(ふるたおりべのしょうしげなり)」という安土桃山時代の大名で、織田信長や豊臣秀吉に仕えた。茶の湯文化を牽引し、千利休の高弟「利休七哲」にも数えられている。信長や秀吉に比べ知名度では劣るものの、マンガ・アニメ作品「へうげもの」で主人公になるなど近年注目が高まっている。2015年に没後400年を迎えた。
そんな古田織部をテレビCMで大抜擢したのが、フルタ製菓だった。CMは全部で4本。うち15秒のもの2本が16年9月から、30秒のもの2本が10月から全国放送されている。
実在の肖像画(大阪城天守閣蔵)が大胆に動き、同社の看板商品「セコイヤチョコレート」や新商品「エブリワンクッキー」を「織部好み~」と猛プッシュする。ちなみに、「織部好み」とは古田織部がデザイン・設計した建築や茶道具の総称だ。
リズミカルな太鼓の音に合わせ、目から光線を発射したり、扇子を持って踊ったり、頬を赤らめたりする肖像画。
あまりのインパクトに、ツイッターで
「振り切ってきたな」
「狂いすぎてる」
と話題を集めるようになっている。
そもそも、古田織部とフルタ製菓の間に何の関係があるのか。
「創業者の『古田』と同じ名を持つもの同士という関係です」
同社企画開発部の担当者はJ-CASTニュースの取材に、血縁関係は一切なく、名前だけで繋がったというのだ。
「フルタ製菓ワロタww」という意見は「嬉しい」
名前だけで抜擢を決めた背景を、フルタの担当者は
「『セコイヤチョコレート』『エブリワンクッキー』のおいしさ、楽しさをより多くの消費者に知っていただくため、安土桃山時代に『織部好み』という言葉を大流行させた武将であり、伝説の茶人である古田織部さんをCMキャラクターとして起用しました。古田織部さんは没後401年を迎える今でも歴史好きを中心に多くのファンに人気があり、それも今回の起用に至った決め手です」
と説明。
また、大胆な演出の理由を聞くと、
「普段の姿からは想像できないはじけた古田織部さんを描くことで、『セコイヤチョコレート』40周年の節目と、新商品である『エブリワンクッキー』を送り出すフルタ製菓の本気を受け取っていただきたいという期待が込められています」
と語った。
同社は、過去にも斬新なPR手法を展開してきた。13年2月には、あえて「義理チョコ」での商品購入を提案する「義理は、フルタで」キャンペーンを打ち出した。なぜ、こうした手法を取り続けるのか。担当者は
「お客様に驚いてもらいたい一心でユニークな宣伝方法を採用してまいりました。近年ツイッターをはじめ、SNSツールで『フルタ製菓攻めてる!』『フルタ製菓ワロタww』などのお客様のたくさんの意見を見るたびに、嬉しく、また身が引き締まる思いです」
と話している。