ユニクロ株価、なぜか反発 売り上げ大幅下方修正の発表直後から

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   「ユニクロ」などを展開するファーストリテイリングの株価が10月14日から反発している。

   13日に発表した2016年8月連結決算で、純利益は56.3%減となり、2020年の売り上げ目標も5兆円から3兆円と大幅に引き下げたものの、17年8月期の純利益が1000億円と2.1倍のV字回復を見込んでいるのが好感されたからだ。

  • 株価が反発している理由は?
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来年は純利益V字回復の見込み?

   東京株式市場の株価の推移をみると、14日に一時1940円(6%)高の3万5090円(終値は3万4800円)、出来高1,671,000株(売買代金は568億円)と前日の3倍に膨らむ大商いになった。週を越えても勢いは止まらず、17日はやや下げたものの、18日から再び上昇に転じ、20日終値は1310円高の3万6330円に上昇、21日も3万6300円と高水準を維持した。もちろん、年初来高値の4万2200円にはまだ及ばないものの、直近高値の3万8000円台の回復は射程に入ったとの声も聞こえる。

   2016年8月期決算は厳しいものだった。売上高が前期比6.2%増の1兆7864億円、純利益は56.3%減の480億円で増収・大幅減益。売上高の約45%を占める主力の国内ユニクロ事業が、2014~2015年にかけて2度行った値上げで顧客離れが進んだ上、暖冬も重なって収益が悪化した。急成長している海外ユニクロ事業も、その中心である中国が景気減速で想定を下回ったほか、円高で為替差損が膨らんだことなども響いた。

値上げがもたらした業績低迷は回復できるのか

   好業績のブレーキとなった値上げについて、柳井正会長兼社長は

「お客様は生活防衛になっていて値上げする時期ではない。毎日が低価格で買い求めやすくするのが成功の秘訣」

と振り返った。右肩上がりだった成長に陰りが見え始めたのを受け、2020年に5兆円としていた売上高目標を3兆円に引き下げた。

   これだけなら株価が下落してもおかしくないところだが、市場は2017年8月期見通しを好感した。国内ユニクロ事業が2度の値上げから一転、16年2月に行った値下げを受けて客足は回復傾向にあることから、売上高は3.6%増の1兆8500億円を見込む。純利益も倍増する計画だ。2016年8月期に計上した為替差損や減損損失などがなくなるのも強みで、市場からは「最近の事業環境からすれば控えめな数字」(アナリスト)との声も出るほどだ。

   これからについて柳井会長兼社長は「お客様が求めるものをすぐに商品化し、情報を積極的に発信していく『情報製造小売業』へ業態を変革していく」として、電子商取引事業の拡大を目指す考えだ。達成時期は明確にしていないが、現在5%程度の国内売上高に占める比率を早急に30%に引き上げる方針。電子商取引事業とともに再成長の柱に期待される低価格衣料品店「GU(ジーユー)」の出店も加速させ、今後10年で、GUだけで売上高1兆円を目指すという。

   掲げた高い目標に向けて事業展開し、それが成功してきたファーストリテイリング。ただ、売上高目標の5兆円から3兆円への引き下げに現れているように、かつての勢いは失われつつある。柳井会長兼社長は5兆円目標について、時期は遅れるものの、「あくまで達成する」と強気な姿勢を崩さないが、国内消費の回復は当然のこと、海外ユニクロや電子商取引の成長なくして実現は困難だ。

   株式市場の反応も、とりあえず短期の業績回復期待にとどまり、中長期の成長見通しをはやしているわけではなく、楽観はできない。

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