子どもの肥満が問題になっているが、テレビの食べ物のCMを見ただけで無性に食べたくなってしまう体質の子どもが一定の割合でいるという、驚きの研究が発表された。
これには遺伝的な要因が関係しているという。米国のノリスコットンがんセンターなどの研究チームが、国際肥満学専門誌「International Journal of Obesity」(電子版)の2016年10月18日号に発表した。
満腹なのにおやつをムシャムシャ
論文によると、過去の研究で、子どもの中には肥満になりやすい遺伝子変異(FTO)を多く持っているタイプがおり、過食に走る傾向があることがわかっている。そこで研究チームは、「テレビの食品広告がこうした遺伝子変異を持つ子どもの食欲を刺激し、肥満に影響を与えている」という仮説を立て、9~10歳の子ども172人を対象に次の実験をした。子どもたちには事前に遺伝子変異の検査を行なった。
(1)子どもたちを2つのグループに分け、昼食を満腹になるまで食べてもらい、すぐ後に34分間のテレビ番組を見せた。
(2)テレビ番組は、それぞれ2種類のCMが流れるものを2つ用意した。食品のCMとおもちゃのCMである。
(3)子どもたちにはテレビを見ながら自由に食べられるおやつ(スナック菓子)を用意し、手が届くところにおいた。
(4)研究者たちは、子どもたちがおやつを食べた量を測定し、子どもの遺伝子変異との関連を調べた
その結果、次のことがわかった。
(1)満腹にもかかわらず、食品のCMを見た子どもは、おもちゃのCMを見た子どもより、多くのおやつをパクパク食べ、カロリー消費が41%多くなった。
(2)しかも、肥満遺伝子変異(FTO)のリスクが高い子どもほどおやつを多く食べた。FTOのリスクが最も高い子どもは、最も低い子どもに比べ、過食する割合が3倍以上高かった。