青森県黒石市の写真コンテスト問題は、自殺生徒が写った写真への賞取り消しが撤回されて一段落した。しかし、肝心のいじめがあったのかの原因究明はなかなか進んでいない。これに対し、あの先生がテレビ番組で一喝した。
「とりあえず収まるところに収まった」「過ちを認める、勇気があると思う」。黒石市の実行委員会側が2016年10月19日、一転して最高賞の市長賞を授与すると発表し、高樋憲市長が会見して謝罪すると、ニュースコメント欄では、こんな意見が賛同を集めた。
「亡くなった後もいじめられた」との声も
今回の問題では、8月25日に自殺した青森市立浪岡中2年の葛西りまさん(当時13歳)が「黒石よされ」の踊り姿で写っていた作品が10月11日に遺族の了承を得て市長賞に内定したが、その後に高樋市長らの意見で3日後に取り消されていた。これに対し、遺族が17日、「いじめをなくすきっかけに」と、りまさんの氏名と作品の写真を公開し、黒石市には、「事なかれ主義だ」などと批判が殺到していた。
高樋市長は19日の会見で、いったん取り消した理由について、青森市教委がいじめの調査中だったとして、「氏名や写真が公表されていない中、公の場に出すのはいいのかと考えた」と説明した。しかし、ネット上では、「なかったことにする、排除するという考えがいじめに繋がる」「葛西さんは亡くなった後もいじめられた」などと不満がくすぶっている。
一方、そもそも青森市教委がいじめの有無をなかなか示さないことが一番おかしいと指摘する向きもあった。
夜回り先生こと教育評論家の水谷修さんは、TBS系情報番組「白熱ライブ ビビット」への20日の出演で、黒石市の市長には思いやりもあったとし、「忘れちゃいけないのは、学校は青森市」と指摘した。水谷さんは、いじめへの取り組みが不十分だとして、責められるべきは市教委であり、早急に第3者委員会で事実関係などを明らかにすべきだと訴えた。
いじめ「濃厚」としながらも結論は先に
これまでの新聞報道によると、亡くなった葛西りまさんは、自らのスマホに遺書を残しており、「二度といじめたりしないでください」として、複数の名前を挙げている。中学1年のときから、無視されたり暴言を吐かれたりいじめを受けていたといい、16年6月には、ラインで悪口を書かれるなどしたとして、遺族が学校側に訴え、学校でも複数の生徒を指導したとしていた。
コンテストの写真は、夏休み中の8月15日に撮影された。それからわずか9日後の始業式に出た翌日に自殺した。
青森市教委の教育長は9月1日、いじめの可能性は濃厚だと認め、7日に第3者委を設置した。青森県警も、生徒らから事情聴取するなど捜査に乗り出している。
しかし、ほぼ同じ時期に自殺した別の中1男子生徒については、青森県東北町教委が9月12日、「いじめがあった」と断定までしている。青森市教委は、いつになったらいじめの有無を示すのだろうか。
市教委の指導課では、J-CASTニュースの10月20日の取材に対し、第3者委が生徒らへのアンケートをもとに調べており、今年度内にも最終報告をまとめると明らかにした。東北町に比べて遅れていることについては、SNSも調べなければならないなど状況が違うことを理由に挙げている。
なお、賞取り消しについては、黒石市から相談などは一切受けていなかったと言っている。