乳児用「液体ミルク」がやっと解禁に 災害時に必要なのに誰が妨害していた?

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   おカタイ話題ばかりが飛びかう内閣官房長官会見室で2016年10月17日、菅義偉官房長官が、おやと思われる発言をした。赤ちゃんのミルクのことだ。「(男女共同参画会議の専門調査会で)男性の育児参加を進めるうえで、乳児用液体ミルクは有効であるという意見がありました」として、国内販売を認める方向で検討に入るという。

   2016年10月18日付朝刊で、朝日新聞、読売新聞など大手メディアも一斉に報道した。

  • 水がない災害時には液体ミルクが役にたつ(写真はイメージです)
    水がない災害時には液体ミルクが役にたつ(写真はイメージです)
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60年前の規定を変えない厚労省、及び腰の業界団体

   報道各紙によると、乳児用の液体ミルクは、成分が母乳に近く、粉ミルク同様に乳児に必要な栄養素が加えられている。粉ミルクと違い、液状のままパックされているので温める必要がなく、常温のまま赤ちゃんに飲ませることができる。紙パックやペットボトルに密閉され、半年~1年間の常温保管が可能だ。

   そんな便利なものがなぜ日本にないかというと、食品衛生法に基づく厚生労働省の省令で、乳児用食品は「粉乳」と限定され、液体ミルクは想定されていないからだ。1951年の制定当時は「粉乳」による保存が最適と考えられ、それが60年間続いてきた。また、2016年2月16日付東京新聞の「液体ミルク解禁署名1万2000件」という記事によると、業界団体である日本乳業協会が「日本では育児は粉ミルクというのが一般的。液体ミルクは認知度が低い」と「本音」を語っており、販売に乗り気ではないことも大きいようだ。

   菅官房長官の会見では、「粉ミルクに比べ乳児に飲ませる手間が少ないため、男性も育児に参加しやすい」と、もっぱらイクメン促進効果が強調されたが、実は以前から震災対策の要望が強かった。清潔な水が不足したり、お湯を沸かしたりできない災害時に粉ミルクは役に立たないからだ。

   先の東京新聞によると、2011年の東日本大震災では、液体ミルクが普及しているフィンランド在住の日本人女性らが計1万4000個の液体ミルクを被災地に送り、喜ばれた。そこで、2015年12月に横浜市の主婦らが呼びかけて、「乳児用液体ミルク研究会」がスタート、インターネットで「乳児用液体ミルク解禁」の署名活動を行ない、1万2000人以上の署名を集めた。

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