日本ハムの大谷翔平が時速165キロを出し、球界に超ハイスピード時代が訪れたことを示した。最大の焦点は「だれが打てるのか」――
大谷が165キロを記録したのは2016年10月16日、日本シリーズ進出を決めたソフトバンク戦(札幌)だった。7-4で迎えた9回表、指名打者からマウンドに上がり、2人目の打者の初球である。電光掲示板にその数字が出ると、球場全体が「ウォー」と驚きの歓声に包まれた。
「どうやって攻略するのか」
「日本新記録ですっ」
放映するテレビのアナウンサーが絶叫した。大谷が自ら持つ最速記録を更新したのだが、切りのいい数字ということもあって各メディアは歴史的出来事のように取り上げた。
これからの大谷は165という数字を基準に語られることになる。その意味ではとてつもないレベルの投手といえる。
この速度のすごさは、対戦した打者しか分からない。つまり相手チームの打者だけで、味方である日本ハムの打者は分からないのではないか。
「だれが打てるのか」「どうやって攻略するのか」
多くの専門家がそう語っているように、来シーズン最大の注目となるのは間違いない。
野球のバッテリー間はおよそ18.5メートル。時速165キロというと、約0.4秒でホームベースを通過してしまう。
実際に打席に立ったソフトバンクの打者は、3球の165キロに対し、右打者が空振り1、左打者がファウル2。バットに当たったファウルは3塁側にしか飛ばなかった。当てるのが精いっぱいで、とても振り切るようなスイングではなかった。