夜遅い食事と夜更かしは禁物
3人の肝臓は「脂肪肝」になっていた。
肝細胞には「脂肪の出し入れ」をする働きがある、血液中にはエネルギーの素となる脂肪が適量流れていて、肝細胞が多すぎると判断するとその脂肪を肝臓に蓄え、少なくなるとまた血液に戻し、血中のエネルギー量を一定に保っている。
極端な食事制限のような急激なダイエットをすると、血中の脂肪が減り、皮下脂肪から大量に脂肪が放出される。見た目は痩せるが、血中の脂肪が増えたため、肝臓に脂肪が溜め込まれる。
痩せた後に我慢していた食べ物を食べると、血中の脂肪が増え、また肝臓に脂肪が...と、悪循環が起こる。これを繰り返すと、肝臓が脂肪でパンパンになってしまう。
自覚症状がないので気付きにくいが、血液検査で「ALT」の数値が40を超えたら要注意だ。
肝臓も心配だが、やはりダイエットはしたい。どんな痩せ方が健康的なのだろうか。
横浜市立大学付属病院 肝胆膵消化器病学の中島淳教授は以下の方法を勧める。
(1) 食事の量は少し減らすだけで、普段通りの食生活を心がける。
(2) 1日30分のウオーキング程度の運動をする。早歩きだと効果大だ。
(3) 早めに夕食を摂(と)って早寝し、最低1日6時間の睡眠を取る。肝臓に溜まった脂肪は、寝ている間に脂肪組織、筋肉、心臓が使う。夜遅い食事と夜更かしは肝臓に脂肪を溜まりやすくする。
(4) 体重は急激に落とさず、1か月に2~3キロまでの減量にとどめる。
脂肪肝と診断されてしまった伊藤さんは、月に1.5キロペースで健康的に減量中だ。