日本は世界「最低」の評価 「受動喫煙」対策、東京五輪までに「向上」なるか

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

   厚生労働省が、他人のたばこの煙を吸い込む受動喫煙を防止するため、飲食店やホテルなどの建物内を原則禁煙にする規制強化を進めている。

   世界保健機構(WHO)の調べでは、世界49か国で、医療機関や大学・学校、飲食店、公共交通機関などで「屋内の全面禁煙」を法制化している。日本では健康増進法(受動喫煙防止法)が2003年5月から施行されているが、屋内禁煙については「努力義務」にとどまっている。

  • 追い詰められる愛煙家… 4年後には屋内全面禁煙になるのか?
    追い詰められる愛煙家… 4年後には屋内全面禁煙になるのか?
  • 追い詰められる愛煙家… 4年後には屋内全面禁煙になるのか?

全面禁煙、違反した場合は管理者などに罰金?

   厚生労働省は、2020年の東京五輪・パラリンピックに向けた受動喫煙防止の規制強化案を、2016年10月12日に明らかにした。テレビ、新聞などの各メディアが報じた。世界保健機関(WHO)と国際オリンピック委員会(IOC)が「たばこのない五輪」の開催をうたっていることや、先のブラジル・リオデジャネイロ五輪でも州が条例で屋内の全面禁煙に踏み切ったように、最近の五輪開催地では受動喫煙の防止に厳しい目が向けられてきた。

   厚労省では、2020年東京五輪・パラリンピックの開催を契機に、競技場周辺などの公共の場をはじめ、幅広い施設で受動喫煙を防いでいく考えで、内閣官房東京五輪・パラリンピック競技大会推進本部にも16年1月以降、「受動喫煙防止対策強化検討チーム」を置いて検討を進めている。

   今回の規制案は、不特定多数の人が出入りする施設を中心に喫煙を規制する考えで、具体的には、飲食店やホテル、事務所などの施設や、駅や空港などは、原則として建物内は禁煙。壁などで完全に仕切られた喫煙室などのスペースに限って喫煙を認める。

   また、スタジアムなどの運動施設や官公庁、社会福祉施設は建物内を完全に禁煙にするほか、病院などの医療施設や学校は建物内だけでなく敷地内をすべて禁煙にする。

   違反した場合には、施設の管理者などに罰金を科す方向で検討しているという。厚労省は早ければ17年の通常国会に、必要な法案を提出したいとしている。

   この報道にインターネットでは、愛煙家だろうか、

「そこまで言うなら売らなきゃいいじゃん。売ってる限りあたしゃ買ってしまうよwww」
「ヨーロッパみたいに外なら吸い放題みたいにしたいのか? 」
「タバコくらい吸わせろ。その分、税金だって納めてやってんだ」

と反発する声が寄せられているほか、

   「禁煙」を歓迎するものの、その実効性については疑問をもっている人もいるようで、

「海外は全店禁煙だけど、外ではバシバシ吸ってなかったっけ?w」
「外で吸われるとそのほうが匂いきついんでw できれば店内で吸ってくれたほうがいいわ」
「外国人観光客なんかふつうに歩きタバコしてるわ。そっちのほうが迷惑」
「会社に喫煙室あるけどドアを2重にしてくれないと無神経なヤツの出入りで煙が来るんだよね」

といった声が寄せられている。

   なかには、

「栽培、製造・販売、服用。すべて禁止だ。他でやっているんだからできるだろ」

と強硬な意見もみられる。

「分煙」実質的に効果なし?

   たしかに、日本の受動喫煙対策は先進国と比べて「遅れている」との指摘がある。

   厚労省が2016年9月2日に公表した「喫煙の健康影響に関する報告書(たばこ白書)」によると、世界保健機構(WHO)の評価基準では、日本は受動喫煙防止策、脱たばこ・メディアキャンペーン、たばこの広告・販売・後援の禁止の項目において「最低」レベル。さらに、医療や教育施設、大学、官公庁、一般の職場、レストラン、カフェや居酒屋、公共交通機関の8つの場所のすべてで、日本は全面禁煙になっておらず、「最低」と酷評された。

   たばこ白書は15年ぶりの改訂で、今回初めて喫煙と病気の因果関係を4段階で評価したところ、がんのほか、脳卒中や心筋梗塞、糖尿病などで因果関係が「確実」であることがわかった。受動喫煙が原因で死亡する人は、国内で年間約1万5000人に達するという。

   日本は2003年5月から健康増進法(受動喫煙防止法)が施行されているが、屋内禁煙については「努力義務」にとどまる。

   そのため、「分煙」を取り入れ、屋内の一部に「喫煙室」を設置する飲食店などが多いが、店内に衝立ても置かずに喫煙場所を設けたり、店内の一角に「喫煙室」を設けたりしたものの、その喫煙室が完全に遮断されていないために、流れ出る煙による受動喫煙が避けらないケースも少なくない。つまり、実質的にまったく分煙できていないケースがあるわけだ。

   こうしたことから、厚労省はたばこ白書でも屋内の全面禁煙などの対策の必要性を訴えている。

   一方、日本たばこ産業(JT)の「全国たばこ喫煙者率調査 2016年」(5月調査。対象は全国20歳以上の男女約3万2000人。有効回答率61.2%)によると、男女を合わせた喫煙者率は前年に比べて0.6ポイント減の19.3%となり、過去最低を更新。女性の喫煙者は微増したが、男性の喫煙率は29.7%で1965年の調査開始以来、初めて3割を切った。

   健康意識の高まりや高齢化の進展、価格の値上げなどの影響で、たばこを吸う人が減っていることは間違いないようだ。

姉妹サイト