かつての「デフレの勝ち組」の現状
他方、ハイデイ日高などに客を奪われ、劣勢な居酒屋業界にあって一人気を吐くのが関西発祥の焼き鳥チェーン「鳥貴族」。こちらも16年4月に東証1部に格上げされている。
鳥貴族の売りは、何と言ってもメニューが280円(税別)均一と貴族と言うにはいかにも格安な点だろう。9月9日に発表した16年7月期単独決算は純利益が前期比67.7%増の9億8100万円と過去最高を更新。売上高が31.3%増の245億円と伸びる中で利益をしっかりと確保しており、着実に成長している。ファミリーレストランや居酒屋が人件費の高騰などで値上げを余儀なくされているが、「280円」を死守していることが支持されているようだ。
格安と言えば「ミラノ風ドリア」(税込み299円)や「マルゲリータピザ」(同399円)などで知られるファミリーレストランのサイゼリヤ。堀埜一成社長は「値上げをしないことが支持されており、これからも値上げしない」と常々強調している。7月に発表した15年9月~16年5月連結決算は純利益が前年同期比23.0%増の37億1400万円。客足が伸びたことなどから売上高は5.5%増の1076億円だった。
かつて「デフレの勝ち組」だった牛丼はどうか。吉野家は、16年4月に4年ぶりに投入した、牛丼(並盛380円=税込み)より低価格の「豚丼」(並盛330円=同)が好調だが、人件費の上昇でコストが増大。吉野家ホールディングスの16年8月中間連結決算は売上高が前年同期比0.5%増の934億円で、営業利益は20.7%減の9億4500万円。復活の兆しはあるが好調とまでは言えないようだ。
マクドナルドは異物混入などの不祥事による最悪期は既に脱しており、9月には値引きメニュー「400円ランチ<税込み>」などを投入し、さらなる客足の回復を目指している。