「50センチ以上の髪の寄付は少ない」
寄付にあたり、髪の色は問われず、少し引っ張って切れるほど極端でなければ傷んでいてもよい。ただ、長さはウイッグ製作の都合上、最低31センチなければならない。全体的に寄付の量は増えているものの、ロングヘアのウイッグを求める子どもも多く、それに必要な「50センチ以上の髪の寄付は慢性的に少ない」(渡辺氏)という。
また、ヘアドネーションの認知度自体はまだ低い、と渡辺氏は言う。
「現在、テレビをはじめ、新聞やラジオ、雑誌、ウェブニュースなどなど、多くのメディアからの取材依頼が殺到しております。そのこと自体が『まだまだ国内では珍しい活動である』ということの証拠だと感じています」
JHDAC のウェブサイトによると、09年の発足以来製作・提供したウイッグの数は16年10月時点で115人分だという。一方、ウイッグを待つ人の数は98人いる。すべてのウイッグがオーダーメードで、製作の要望を受けてから手元に届けられるまでは最長で2年ほどかかる。予算の都合で「これ以上スピードを上げるのは、現状難しい」とし、「この待機期間が、小児がん患者からの申請が少ない一因になっていると予測しています」と渡辺氏は悩みを明かした。賛同美容室も16年10月時点で全国に1500店舗ほどあるが、美容室自体は20万店以上ある。ヘアドネーションの活動はまだまだ道半ばといえよう。