ギブスや包帯でかけない時に便利
いずれの実験でもかゆい場所をかいているように見える時は、かゆみが治まるように感じるのだ。これは、かゆみは脳が感じるためで、脳に視覚(かゆい個所をかいているように見える)と触覚(腕の表面をかく行為)の2つの錯覚が重なることによって起こる効果だという。
ヘルムヒェン博士は、この劇的な効果を「ミラー・スクラッチング(鏡のひっかき効果)」と名づけ、論文の中でこう語っている。
「脳に錯覚を起こさせると、かなりかゆみを緩和できることがわかりました。皮膚の病気でかゆみが長く続く場合や、かくと皮膚が傷つく場合などの代替治療として大きな効果を上げると思います」
かゆい部分を直接かかなくても、かゆくなくなるということは、例えば、ギブスや包帯で傷口が覆われ、かきたくてもかけない時などに便利かもしれない。