「女子アナウンサーへの登竜門」とも呼ばれてきた「ミス慶應コンテスト」の主催サークル「広告学研究会」が大学側から解散を命じられたのは、未成年の飲酒が原因だと説明されてきた。だが、週刊文春と週刊新潮が、メンバーの女性(当時18)が懇親会の場で無理矢理酒を飲まされ、性行為をされていたなどと報じた。
大学の当初の発表ではこういった事実は触れられておらず、大学が事案を「握りつぶした」(新潮)という批判も出ている。大学側は両誌の記事を踏まえてコメントを出したが、「自ら事件性を確認できない事案を公表することはできない」などとして「隠蔽」批判に反論している。
週刊文春と週刊新潮が被害者証言を報道
慶大が10月4日に清家篤塾長名で出した「告示」によると、「広告学研究会」メンバーが9月2日に宿泊先で行った懇親会で複数の未成年者が飲酒し、この懇親会では、
「互いを指名して飲酒するよう囃(はや)し立てる、或いはゲームの勝敗により酒を呷(あお)る等の危険な行為」
が確認されたことを問題視。09年に起きた、いわゆる「日吉駅全裸疾走事案」を念頭に
「団体の体質、運営実態が極めて不適当であることは明白」
だとして解散を命じた。
だが、16年10月13日に(首都圏などで)発売された「週刊文春」と「週刊新潮」の10月20日号では、単なる「未成年飲酒」にとどまらず、メンバーの女性が性的暴行を受けたことを指摘している。
両誌は被害女性や母親の証言をもとに、いずれも、酔わされて身動きが取れなくなった女性は押し倒され服を脱がされ、無理矢理性行為をされた。この様子を撮影する者もいた、などと報じた。すでに被害女性は神奈川県警に被害を届け出た、という話も両誌とも触れている。
「『隠蔽』の意図も事実もありません」
こうした報道を受け、大学側は10月12日にウェブサイトでコメントを発表した。それによると、「広告学研究会」解散処分を行う上で複数回にわたって関係者に事情聴取を行うなどしたが、
「報道されているような事件性を確認するには至りませんでした」
として、性的暴行の事実は確認できなかったとした。さらに、大学としては捜査権限がなく、調査に「一定の限界」があるため、性的暴行の事案については
「捜査権限のある警察等において解明されるべき」
だとした。その上で、
「大学としては自ら事件性を確認できない事案を公表することはできず、したがって、一部報道されているような情報の『隠蔽』の意図も事実もありません」
などと週刊誌からの批判に反論した。
文書では、性的暴行を行ったとされるメンバーの処分の可能性についても
「事件性が確認されるような場合には、捜査等の推移を見守りつつ、厳正な対処を行うというのが、従来からの慶應義塾の方針」
などと言及している。
09年9月20日に起きた「全裸疾走事案」では、神奈川県警港北署などが10月13日にメンバー10人を書類送検。大学側は12月下旬になって、メンバーに「けん責」処分を下したことを発表していた。