まず「毎日使う」から「捨てる」まで4種類に分類
母と娘の2人に、強力な応援が駆けつけた。「片づけアドバイザー」の杉之原冨士子さんだ。作業に入る前、娘の純子さんにこう要望した。
杉之原さん「実家の片づけは、お母様がここのお宅の主導権を持っていると考えていただきたい」
娘から母に「なんで捨てないの」「いらないじゃない」と声に出すのは絶対にダメ。けんかになると、作業が滞って目的が果たせなくなってしまう。
初日、真っ先に手を付けたのが台所だ。床にブルーシートを広げ、その上に4枚の色紙を置いた。すべての物を仕分けるためだ。「毎日使っている」は青い紙に、「時々使う」は黄色い紙に、「使っていないがとっておきたい」は緑の紙に、そして「捨てる」はピンクの紙に、それぞれ分けていく。
「何かに使えそう」と保管していたガラスの空き瓶に、空の容器にと、どんどん分別を進める。この中で「とっておきたい」に分類した物は、茶色い普通の段ボールではなく「白いボックス」に入れて残しておくとよいと、杉之原さん。一般的な段ボールは、いらないものを入れてしまいがちだ。白い箱なら、部屋の中に積んでおいても「嫌な感じは受けない」と説明する。
「毎日使っている」物を元の位置に戻していくうちに、調味料ケースが大きなサイズの割に収納する調味料が少ない点に母と娘が気づいた。実はケースを買うのは、物が増える原因になる。不要になったケースは処分に回した。
杉之原さんによると、台所は食品をはじめ「思い入れのある物が少ない」ので、最初に作業に取り掛かるには最適だという。
2日目からは、母と子の2人だけになった。食器棚を片づけると、みや子さんが日々必要な食器はわずかで、娘の家族が遊びに来た際に使う物を残してかなり減らせた。コンロの前を占領して調理スペースを狭くしていたワゴンも、同じ要領で仕分け、処分していく。勝手口の前もきれいにできた。
次に純子さんの部屋だ。子どものころの純子さんの成績表やテスト、母の似顔絵と思い出の品が続々と出てくる。時々片付けの手を休めて、2人は一緒に思い出に浸った。