運動会中に30代の女性のお尻を撮影したとして、福岡市職員の男(43) が県迷惑行為防止条例違反(ひわいな言動)の疑いで現行犯逮捕された。
現在捜査中で詳しい事は分かっていないが、男は下着などを盗撮しようとしたわけではなく、後方から着衣越しに撮影したため、厳重注意はあっても逮捕までするのは行きすぎではないか、という意見がネットでは結構多い。
写真が趣味とは聞いていない
J-CASTニュースが2016年10月12日に福岡県警に取材すると、市職員の男は16年10月10日午後2時半ごろに運動会が行われている市内の小学校のグラウンドに行き、デジタルカメラで30代女性のお尻を背後から撮影した。県警では、
「正当な理由がないのに撮影したため、人を著しく羞恥させ不安を覚えさせた。ひわいな言動があったという理由から現行犯逮捕しました」
と説明した。
同市の人事課にJ-CASTニュースが話を聞くと、10月12日午後5時現在もこの男は警察に拘束されていて、市の関係者は誰も接触できない状態のため、何が起きたのかは把握ができていない、ということだった。勤務態度はいたって普通だが、運動会にこの男の子供が参加していなかったし、写真が趣味だという事も聞いたことがない、と打ち明けた。
今回の事件についてネットでは、
「ええ?!こんなんで逮捕?」
「着衣の上からでもアウトってよく聞くけどなんかやりすぎな気がする」
「服の上からケツを撮影してダメなら後ろ姿撮ったらダメじゃん」
などといったことが掲示板に書き込まれ驚きが広がっている。
しかし、衣服を着た人を撮影し迷惑行為防止条例で逮捕されるというのは特に珍しい、とは言えないようだ。こうした事件はいくつも報道されている。
「羞恥させた」「不安を覚えさせた」がポイント
衣服を着た女性を撮影し逮捕に至った例として、14年10月26日には、静岡県御殿場市のアウトレットモールで、20代女性の5メートルほど後ろから県職員の50代の男がその女性の下半身をスマホで動画撮影し逮捕された。女性はズボンを着用していた(読売新聞14年11月7日付)。同年8月21日には東急田園都市線の走行中の電車内で、隣に座っていた女子大生の全身を手の中に隠し持った小型カメラで撮影した疑いで川崎市環境局の40代の職員が現行犯逮捕された(朝日新聞14年8月30日付け)。
また、イベントを撮影しても逮捕されることがある。12年9月9日に相模原市の県立高校での文化祭の野外ステージでチアダンスをしていた27人の女子高生をデジタルカメラで撮影した40代の銀行員ら2人が建造物侵入と迷惑行為防止条例違反(卑わいな言動)の疑いで逮捕された。1人の太ももなどをアップで撮影した疑いが持たれている(共同通信12年9月9日付け)。
ちなみに今回逮捕者が出た「福岡県迷惑行為防止条例」第六条にはこう書かれている。
「何人も、公共の場所又は公共の乗物において、正当な理由がないのに、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で次に掲げる行為をしてはならない。(一)他人の身体に直接触れ、又は衣服の上から触れること。(二)前号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること」
いずれの事件にも共通するのは「羞恥させた」「不安を覚えさせた」ため警察に通報された、ということだ。明らかな盗撮でなくても不用意な撮影は厳重注意では済まなくなっているということなのだろう。