「羞恥させた」「不安を覚えさせた」がポイント
衣服を着た女性を撮影し逮捕に至った例として、14年10月26日には、静岡県御殿場市のアウトレットモールで、20代女性の5メートルほど後ろから県職員の50代の男がその女性の下半身をスマホで動画撮影し逮捕された。女性はズボンを着用していた(読売新聞14年11月7日付)。同年8月21日には東急田園都市線の走行中の電車内で、隣に座っていた女子大生の全身を手の中に隠し持った小型カメラで撮影した疑いで川崎市環境局の40代の職員が現行犯逮捕された(朝日新聞14年8月30日付け)。
また、イベントを撮影しても逮捕されることがある。12年9月9日に相模原市の県立高校での文化祭の野外ステージでチアダンスをしていた27人の女子高生をデジタルカメラで撮影した40代の銀行員ら2人が建造物侵入と迷惑行為防止条例違反(卑わいな言動)の疑いで逮捕された。1人の太ももなどをアップで撮影した疑いが持たれている(共同通信12年9月9日付け)。
ちなみに今回逮捕者が出た「福岡県迷惑行為防止条例」第六条にはこう書かれている。
「何人も、公共の場所又は公共の乗物において、正当な理由がないのに、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で次に掲げる行為をしてはならない。(一)他人の身体に直接触れ、又は衣服の上から触れること。(二)前号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること」
いずれの事件にも共通するのは「羞恥させた」「不安を覚えさせた」ため警察に通報された、ということだ。明らかな盗撮でなくても不用意な撮影は厳重注意では済まなくなっているということなのだろう。