「岩下の新生姜」ペンライト、突然の販売中止 社長が打ち明けた「苦渋の決断」

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   栃木県の漬物製造販売会社「岩下食品」が販売していたペンライトが突如、販売中止となった。ある女性アイドルが同製品を使った嫌がらせを受けていたことが判明し、2016年10月11日、社長が決断した。

   ペンライトは岩下食品の看板商品「岩下の新生姜」を模したオリジナルグッズで、その斬新なビジュアルは発売当初からインターネット上で話題を呼んだ。一方、細長い独特な形状からか「アダルトグッズにしか見えない」といった指摘も相次いでいた。

  • 2016年3月に発売された「岩下の新生姜ペンライトVer.2」(プレスリリースより)
    2016年3月に発売された「岩下の新生姜ペンライトVer.2」(プレスリリースより)
  • 2016年3月に発売された「岩下の新生姜ペンライトVer.2」(プレスリリースより)

「当初はネット上の誤解に戸惑いました」

   「岩下の新生姜」は台湾のみで栽培される生姜「本島姜(ペンタオジャン)」を使用した酢漬で、一般的な生姜とは異なる細長い形状が特徴だ。ペンライトでは、この独特な形と酢漬けの淡い桃色を忠実に再現。2015年6月にオープンした「新生姜ミュージアム」(栃木市)で販売を始め、その後、自社オンラインショップなどでも取り扱っていた。

   ネット上では「アダルトグッズにしか見えない」「意識しているのでは」といった指摘が目立っていたが、一部アーティストやアイドルのライブでは公式グッズのように扱われ、新生姜ファンの間でも人気を博していた。

   そうした中、同社の岩下和了社長が10月11日、自身の公式ツイッターで突然「販売は、昨日をもって終了しました」と報告し、中止に至った経緯を明かした。翌12日、J-CASTニュースの取材に応じた社長は改めて経緯を説明し、「複雑な思いです」と胸中を語った。

「もともとは広報活動の一環、話題づくりとして作りました。新生姜を模したものですから『卑猥』という認識は当然なく、狙うはずもない。当初はネット上の誤解に戸惑いました。しかし『変なイメージで見てくれるな』と怒るのは新生姜の『自由な楽しさ』というポリシーにも合いません。真意とは違っても、面白がって楽しんで頂けているのならば...と、その盛り上がりを歓迎していました」

   だが数日前、女性シンガーソングライターから「何も知らずに、ファンからペンライトを触らされて楽屋で泣いてたアイドルいる」とツイッターで報告を受けた。このアーティスト自身も「知らずにプレゼントでもらって真っ青になった」という。

「『好きだったのに』『欲しかった』のご意見も数百件あった」

   岩下社長は、こうした報告に、

「胸を痛めました。制作の真意がどうであれ、「卑猥」のイメージがついてしまったペンライトが嫌がらせとして使われ、結果的に傷ついた人がいると知った以上、対策を打たざる得ないと思いました」

と語った。当初はペンライトの制作意図を説明することや、使用場所について注意喚起することなどを検討したが、それでも売り続ければ「目の届かない場所で第2、第3のハラスメントが起こる可能性を高めてしまう」と考えた。その上で、

「悪い状況は放置してはいけないと思い、すぐに販売中止を決断しました。ツイッターでは経緯を伝えるとともに、情けない思いですが、すでにお持ちの方には、周囲に不愉快に思われないようなTPOでご使用いただけるようお願いしました」

と話した。社長によると、ペンライトはこれまでに約3000本を販売したが、追加発注していた2500本は組立寸前まで進んでいたため、すべて買い取ることにしたという。「損失は出ますが、仕方ありません」としている。

地下セクシーアイドル「本当に頭が下がります」

   一連のツイートに対しては「『対応が遅い』『そもそも発売するな』というご意見もありましたが、『好きだったのに』『欲しかった』といったご意見を数百件いただきました」という。実際、ツイッター上でも今回の決断を称賛する声が目立つ。

   新生姜ペンライトが公式グッズ化している自称地下セクシーアイドル「ベッド・イン」公式アカウントは12日、「岩下社長の事態に対する真摯な姿勢と、きめ細やかな対応には本当に頭が下がります」とツイート。

   「岩下の新生姜」に捧げた楽曲「New Gingeration」を持つロックバンド「打首獄門同好会」の公式アカウントは「俺個人としてはあの商品のコンセプトは『食品』として以外一切認めるつもりはありませんし、所有されている方は遠慮なく『New Gingeration』にあわせてご使用いただいてOKですからね」と投稿した。

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