トヨタ自動車とスズキは2016年10月12日、業務提携に向けた検討を始めると発表した。環境や安全、情報技術などの分野での連携を想定している。
両社の発表によると、協業に向けた協議について、スズキの鈴木修会長が、トヨタの豊田章一郎名誉会長に相談を持ちかけたことがきっかけ。国際的な激しい競争が繰り広げられている自動車業界で、存在感を高める狙いがある。
環境や安全、情報技術で両社の思惑が一致
自動車業界では、排ガスの不正で経営が悪化した三菱自動車が日産自動車から34%の出資を受け入れることになっており、今回の自動車最大手のトヨタと世界的な軽自動車メーカーのスズキが本格的な提携をすることになれば、自動車メーカーの大再編が加速することになるとみられる。
トヨタ、スズキ両社は12日、それぞれのサイトで連名の発表文を公開。スズキは先進・将来技術の開発に課題を抱え、トヨタは「仲間づくり・標準づくり」が欧米各社より遅れていた。両社の課題解決には業務提携が有効だ、と思惑が一致し、今回の発表につながった。
発表文の中で、トヨタの豊田章男社長は、
「自動車業界を取り巻く環境が大きく変わる今、生き抜くために必要なのは『変化に対応する力』。個別の技術開発に加えて、同じ志をもった仲間づくりが重要となってきている。『もっといいクルマ』づくりと自動車産業の発展に役立つ取り組みであれば、我々は常にオープンな姿勢で検討したい」
との考えを示した。
また、鈴木会長は、
「トヨタは業界トップの企業であり、また、あらゆる先進技術、将来技術を手がける最も信頼できる会社。今回こうしてトヨタとの協業に向けて協議を進められることになり、大変ありがたい。(略)スズキの将来のためにもしっかりと協議に臨んでいく」
とのコメントを寄せた。