航空宇宙分野の展示会「国際航空宇宙展」が2016年10月12日、東京ビッグサイト(江東区)で開幕した。開催は12年以来4年ぶりで、首都圏開催は08年(パシフィコ横浜)以来8年ぶり。
展示会は、1966年に航空自衛隊の入間基地で「国際航空宇宙ショー」として開かれたのが最初で、数年に1回のペースで開かれている。今回は31の国と地域から過去最多の792社・団体が出展。日本に未上陸の最新鋭機の実物大模型や、日本最古のジェットエンジンなどが展示されている。
ロッキードF-35実物大模型に長蛇の列
会場内には様々な飛行機、ヘリコプター、ロケットなどの模型が展示されている。展示のうち最も「大物」が、屋外に米ロッキード・マーティン社が展示している最新鋭主力戦闘機「F-35」の実物大模型だ。F-35は近く航空自衛隊に配備予定で、9月にはテキサス州の工場で自衛隊に納入する1号機を公開したばかりだ。実物大模型はコックピット(操縦席)も作り込まれ、関係者向けの公開が始まってすぐに長い列ができていた。
仏エアバスグループは、新型の12人乗りヘリ「H160」の実物大模型をアジアで初めて展示。同社のヘリは、かつては「ユーロコプター」の名前で知られていたが、14年に「エアバス・ヘリコプターズ」に社名変更。H160は今の社名になってから初めての新機種だ。すでに試作機が2機完成しており、19年の顧客への引き渡しを目指す。
初のジェット戦闘機「橘花」のエンジン「ネ20」
国内勢では、かつては「石川島播磨重工業」として知られたIHIが、これまでに開発したエンジンの実物を展示。目玉は戦時中の初の国産ジェットエンジン「ネ20」だ。日本が初めて開発したジェット戦闘機「橘花」に搭載され、太平洋戦争末期の1945年8月に試験飛行を成功させた。直後の終戦で「ネ20」はことごとく破壊されてしまったが、少なくとも5基が米国にわたり、そのうち1基が日本側に返還された。普段はIHI社内の資料館で展示されており、久々の一般向け公開となった。
三菱航空機は、今後北米で試験飛行が予定されている三菱リージョナルジェット(MRJ)の、客室部分の実物大模型を展示。来場者は実際のシートに座って、機内の広さを確かめるなどしていた。
14日までは業界関係者向けに開催され、最終日の15日に一般公開される。宇宙飛行士の山崎直子さんによる講演会や、日本航空(JAL)や全日空(ANA)による航空教室が予定されている。主催者は4万人の来場を見込んでいる。