人間の最高寿命に「限界」があった 125歳まで生きる確率は1万分の1

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   「将来、人類の寿命は150~300歳まで伸びる!」などという夢のような話がもてはやされた時期があったが、やはり、夢物語だったようだ。

   米アルバート・アインシュタイン医科大学のチームが、人の寿命の「限界」を発見したとする研究をまとめ、科学誌「ネイチャー」(電子版)の2016年10月5日号に発表した。

  • 最高齢記録が出たのは20年前
    最高齢記録が出たのは20年前
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20年前の「122歳」が最高齢記録の頂点だった

   これまで、寿命は現在より飛躍的に伸びるとする研究の多くは、老化に関係する遺伝子など寿命の阻害要因を除去すれば長生きできるはず、というものだ。たとえば、2015年11月3日付の科学誌「セル・メタボリズム」に発表されたワシントン大学などの研究論文によると、酵母細胞には寿命や老化に関係する遺伝子が238種類あり、そのうちの1つを除去すると酵母細胞の寿命が60%伸びたという。この技術を人間に応用すると、遺伝子操作だけで平均寿命が80歳から128歳にまで伸びるというわけだ。

   こうした研究に対し、今回発表された論文は、冷徹な統計学に基づいている。研究チームは、論文の添付文章の中で、まずこう述べている。

「陸上男子100メートル走の記録で、エリート・アスリートは数ミリ秒を削ることはできるかもしれない。しかし5秒、いや2秒さえ削ることは決してできないだろう。人間の体はそのようにできていない。寿命も同じで、生物学的な限界がある。1997年にフランス人女性ジャンヌ・カルマンさんが前人未到記録の122歳と164日で亡くなったが、彼女の記録は、ウサイン・ボルト選手の記録同様、金字塔として残り続ける可能性が高い」

   研究チームは、世界40か国以上の人口統計データを詳細に調べた。その結果、20世紀初頭から医学の発達、栄養状態の改善、衛生教育の普及などで平均寿命はどんどん伸びた。最高寿命も1970年代から急速に上昇したが、1990年代に頭打ちになり、ついに「終点に達した」ことを発見した。最高寿命の上昇は、ジャンヌ・カルマンさんが亡くなった1997年が頂点だった。それ以後、彼女より長寿の人は現れていない。世界最高齢の人が115歳前後という状態が現在まで続いている。

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