「女子に対し、全学部において、一定の点数を加算して判定します」――。男女共学の私立大、大阪電気通信大学(本部・大阪府寝屋川市)の公募推薦入試に設けられたこんな優遇制度が話題を集めている。
全5学部の公募推薦入試を受験したすべての女子生徒に加点を保証するこの制度。ネット上で、「女尊男卑がエゲツない」「何やったって良いだろう」と議論を呼んでいる。制度を設けた理由について、同大に聞いた。
「受験を不公平なものに」「何やったって良い」と賛否両論
大阪電通大の2016年の公募推薦入試は10月20日から31日までの出願期間を経て、11月12日(A日程)、13日(B日程)の2日間実施される。
年初の一般入試に先がけ、出身校の推薦を前提に実施される公募推薦入試。一般的に、大学側は高校の成績(評定平均値)と面接・小論文などによる人物評価をあわせた独自の仕組みで合否を判定する。
同大の場合、試験内容は数学や英語といった科目の適性検査のみだが、「専門学科・総合学科の高等学校の在籍・卒業生に対する優遇制度」「各種資格(検定)保有者に対しての優遇制度」といった個性的な優遇制度が設けられている。
今回注目されたのは、その中の「女子に対する優遇制度」だ。公式サイト内の説明書きには、「女子に対し、全学部において、一定の点数を加算して判定します」とある。
「社会的弱者」を進学・就職などの面で優遇する動きは一般的に「アファーマティブ・アクション」と呼ばれる。
大阪電通大の「女子に対する優遇制度」が、アファーマティブ・アクションを意図したものかは不明だ。ただ、日本の大学が受験生の性別に基づく優遇制度を設けるのは珍しいと感じる人も多く、ネットで大きな反響を集めた。
ツイッターの反応は
「受験を不公平なものにしてる」
「女尊男卑がエゲツない」
といった疑問の声、
「判らないでもないけどね」
「何やったって良いだろう」
と理解を示す声に分かれている。
大阪電通大OB「僕らの年は8対2で男が多かった」
一体なぜ、こうした制度を設けたのか。大阪電通大広報課の担当者はJ-CASTニュースの10月11日の取材に
「女子学生の大学進学率の上昇に貢献するのと同時に、理工系分野に興味のある女子高生を応援したい思いがあり、設けました。制度はおそらく10数年前からありました。今後については未定です」
と話す。
一方、20代の同大男性OBは取材に対し、
「学ぶ量は男女で変わりませんし、生徒の為にならないと思います。女子生徒を獲得するための方法としては正しくないように感じます」
と感想を述べつつ、
「(在学中に)女子の比率は少なかったです。僕らの年は8対2で男が多かったです」
と振り返った。