今年のノーベル医学・生理学賞は東工大の大隅良典特別栄誉教授(71)に決まり、3年連続日本人の受賞で国内は沸き立っている。
今までなじみのなかった「オートファジー」も一躍、流行語になって、巷でもささやかれているほどだ。
受賞年齢が1950年代から上昇
だが、英国の公共放送BBCは今年の自然科学系3賞(医学・生理学、物理学、化学)受賞者は全員が男性で、最も若い人でも65歳、ほとんどが72歳以上だと指摘し、老人と男性優位の選考に警鐘を鳴らしている。
BBCによると20世紀前半の受賞者の平均年齢は56歳で、現在では60代後半が圧倒的になった物理学賞受賞者の平均年齢も47歳とずいぶん若かった。ノーベル財団の資料をもとにBBCが調べた受賞者の年齢は自然科学系の場合、1950年代から上昇を続け、その傾向は現在も続いているという。
これは経済学賞や文学賞、平和賞にはあてはまらず、経済学賞や文学賞はほぼ横ばい、平和賞は逆に年齢が下がって来ているという。
もちろん、これは各賞の選考基準が大きく異なっているからで、ストックホルムにあるノーベル博物館のグスタフ・コールストランド学芸員はBBCに対し、「100年前、物理学者と言われる人は世界で1000人前後だった。これが現在は約100万人と推定されている。受賞するまでに時間がかかり、素晴らしい成果を上げてもすぐに受賞するのは難しくなった」と話している。同じ分野の研究者も増えると、選考委員会も成果が間違いのないものであることを確かめるのに、より長い時間をかけることを強いられるのは確かだ。
とはいえ、BBCは小説家や経済学者、平和に向けて活動する人も100年前に比べれば圧倒的に増えたのに「なぜ自然科学系だけが高齢化したの?」と辛口の疑問を発する。