診断技術の進歩で患者が急増した?
ハムディ博士によると、積極的監視グループで、手術や放射線治療を行わなかった患者の約8割には10年後も目立ったがんの進行はみられなかった。
同紙は調査に加わっていないニューヨーク・スローンケタリングがんセンターのピーター・スカルディーノ外科部長にも取材した。「これまでしっかりした治療法の比較がなかったのでこの結果は非常に重要だ。早期がんの場合、積極的監視が有力な治療の選択肢になる。患者は治療法を急いで選ぶ必要がなく、じっくり考えることが可能になった」と研究を高く評価している。
前立腺がんは日本でも急速に増え続けている。2015年には2000年の倍以上になり、胃がんや肺がんを抜いて部位別男性新規がん患者のトップになったとみられている。一方で、推定死者は約1万2000人で肺がんの約7分の1。前立腺がん患者の8割は65歳以上の高齢者といわれ、食生活の欧米化や高齢化の進展が増加の原因とされているが、診断技術の進歩による発見の増加という側面もあるようだ。前立腺がんと診断されても、主治医とは別の専門医に治療法のセカンドオピニオンを尋ねてみることが賢明なやり方かもしれない。