原発廃炉費用の「利用者負担」 賛否がぱっかり割れた大手紙社説

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「以前は受益」か「二重取り」か

   この2つの「廃炉費用問題」は国民負担に直結し、また原子力政策の行方とも密接にかかわるだけに、大手紙は一斉に社説(「産経」は主張)で取り上げた。

   論点のひとつは、原発を持たない新電力が原発廃炉費用の一部を負担することの是非だ。

   原発推進・維持の「読売」(10月7日)は「新電力に移行した人もそれまでは原発を含む供給体制の下で電力を使ってきた。今後も原発を柱の一つとする電力安定供給の基盤を維持する費用は、広く分かち合うべきだろう」と、政府の方針を全面的に擁護。「産経」(3日)も「新電力に切り替えた消費者も、自由化前には原発で発電した安い電気を使ってきた......その受益を考えれば、原発の廃炉費用を新電力を含めて広く分担するのは当然」と政府方針支持を明確に打ち出している。

   原発維持という点で2紙と同じ「日経」(3日)は、もう少し慎重な言い回しで、「本来、自由化の制度設計の段階で対処しておくべきだった」と後手に回る政府の対応に苦言を呈するが、「すべての消費者で分担する仕組みを考えるべきではないか」と、政府方針に異を唱えはしない。

   これに対し、「毎日」(4日)は「消費者はこれまでも電気料金に上乗せされる形で(廃炉費用を)負担してきた。二重取りは理屈に合わない」と政府方針を明快に否定。「朝日」(9月29日)は「ガスや水道など......引っ越しで新たな会社と契約した。そこへ以前の契約先から設備の後始末に伴う請求書が届いた。支払いに応じる人がいるだろうか」と、比喩で批判。

   両紙は電力自由化の理念である消費者の選択にも論点を広げ、「新規参入を促し、大手もまじえた競い合いを活発にする。『料金が安い』『環境にやさしい』といった多様な理由から契約先を選べるようにする。それが自由化の目的だ。新電力にも廃炉のつけを回せば、競争と選択の土俵をゆがめる」(「朝日」)、「廃炉費のつけ回しが、大手電力の原発への優遇策となり、新電力の多くが手がける再生エネルギー導入への逆風となる。そんな事態は許されない」(「毎日」)と、疑問を投げかける。

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