市場から「高値づかみ」との指摘も
ただ、証券アナリストから「高値づかみ」の声も上がる。今回の買収額はルネサスの純利益の4倍にあたり、2016年6月末時点の手元資金約3900億円で賄えるとはいえ、その大半を使ってしまうことで、「今後も魅力的な案件を見つけたい」(呉社長)というM&A戦略を支える資金確保に疑念を抱かせかねない。
実際に市場の反応は芳しいとは言えない。買収観測の報道が出始めた8月末以降、株価は600円台半ばから一時、500円台半ばまで落ちた。その後、やや持ち直したものの、買収発表当日も含め、600円台前半のボックス圏を抜け出せず、直近10月7日終値も640円。市場ではやされることは、ほとんどなかった。
買収の真価が発揮でき、市場に評価されるには、まだ時間が必要のようだ。