米当局との合意
一方、リコール問題は米当局(米運輸省高速道路交通安全局=NHTSA)の采配によって収束に向かっている。NHTSAとタカタは5月、「異常破裂が過去に1件でも起きているタイプのエアバッグはすべてリコールする」ことで合意したのだ。自動車王国、米国での決定は世界に波及する。タカタ製エアバッグのリコールは累計1億個に上り、費用は1兆円を超える見通しだ。
ただ、タカタは2016年3月期まで2年連続最終赤字で、純資産は1200億円余り。9月には内装材を手がける米子会社の売却を発表、100億円程度の売却益を得るなどしている。しかし1兆円など到底捻出できるはずもなく、まかなえない分は自動車メーカー間で負担割合を議論してもらうしかない。そうした中でようやく、スポンサー探しが本格化し、5陣営が手を挙げたというわけだ。このうち冒頭にあげたダイセルは、タカタにエアバッグ用のガス発生装置を納品する会社。そのほかはスウェーデンのエアバッグ大手や米国自動車部品メーカーなどが並ぶ。
タカタは自動車メーカーと協議のうえ、スポンサー候補を絞り込み、年内に決定する運び。ようやく高田家からスポンサー企業にタカタの経営権が移ることになる。ただ、自動車メーカー側には、リコール費用を肩代わりする以上はタカタへの影響力を保ちたいという思いがある。このため、タカタの債務をタカタ株に切り替える「デット・エクイティ・スワップ(債務の株式化)」と呼ばれる手法で自動車メーカーがタカタに出資する案なども浮上している。
スポンサーを含めた関係者による支援の枠組みを決める調整に時間がかかる可能性もある。