瀬戸内寂聴さん「殺したがるばかどもと戦って」 死刑廃止訴えるビデオが波紋

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   作家で僧侶の瀬戸内寂聴さん(94)が死刑廃止を訴える中で、「殺したがるばかどもと戦って」などと発言したとして、波紋を広げている。死刑存続を主張する人を「ばか」と呼んだと受け止められたからだ。

   瀬戸内さんは古くから冤罪事件の支援活動に携わっており、死刑廃止は古くからの持論でもある。だが、世論調査では死刑存続を望む声の方がまだ多く、瀬戸内さんの発言は反発を呼んでいる。

  • 世論調査では「死刑もやむを得ない」が80.3%にのぼっている(写真は法務省旧本館)
    世論調査では「死刑もやむを得ない」が80.3%にのぼっている(写真は法務省旧本館)
  • 世論調査では「死刑もやむを得ない」が80.3%にのぼっている(写真は法務省旧本館)

「徳島ラジオ商殺し事件」で冤罪訴えた死刑廃止論者

   日本弁護士連合会(日弁連)が2016年10月6日に福井市内で開いた死刑廃止に関するシンポジウムに瀬戸内さんがビデオメッセージを寄せ、その中で瀬戸内さんは死刑制度の撤廃を主張。瀬戸内さんはその中で、

「人間が人間を殺すことは一番野蛮なこと。『殺さない』ってことを大きな声で唱えてください」

と訴えた上で、

「そして、殺したがるばかどもと戦ってください」

と続けた。

   瀬戸内さんの知名度が上がったのは、1953年に徳島市で起きた「徳島ラジオ商殺し事件」だ。この事件では、容疑者として逮捕された女性は冤罪を訴えていたが、懲役13年の判決が確定し服役。再審請求中の1979年に死亡し、それから6年近くが経過した1985年7月、再審で無罪判決が出ている。

   当時は「晴美」と名乗っていた瀬戸内さんは、この女性の裁判について記事を雑誌に発表し、1971年には「恐怖の裁判 徳島ラジオ商殺し事件」(読売新聞社)も出版された。瀬戸内さんはその後も、連続ピストル射殺事件を起こした永山則夫元死刑囚=1997年死刑執行=や、連合赤軍元幹部の永田洋子死刑囚=2011年獄死=とも親交があったことで知られている。

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