体内時計が壊れると「長期記憶」ができなくなる
ところが、記憶をつかさどる海馬で、体内時計の役割を果たしている遺伝子を壊すと、どの時間帯でも長期記憶ができなくなった。この実験で、長期記憶には体内時計が関係していることが確認できた。また、研究チームは海馬の神経細胞の中で記憶に関わるタンパク質を調べたところ、「SCOP」というタンパク質が夜に増える一方、昼には減り、体内時計のサイクルに応じて増減を繰り返していることを発見した。「SCOP」が多い時に学習すると記憶が定着する率が高まることが判明した。
マウスは夜行性だが、人間は昼行性だ。研究チームは、発表資料の中で、「人間にもマウスと同じ体内時計があり、同じ仕組みが働いていると考えられます。活動を開始する時間帯(朝)に学習すれば、より効率よく効果をあげることが期待できます」とコメントしている。