ゴキブリに「頭を冷やす」神経があった しぶといが、意外にクールで繊細なヤツ

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   「頭を冷やして出直してこい!」と言われ、ションボリした経験のある人は多いだろう、ゴキブリにも「頭を冷やす」繊細な神経があることがわかった。

   北海道大学の水波誠教授らの研究グループが神経科学専門誌「Journal of Comparative Neurology」(電子版)の2016年9月27日号に発表した。

ミツバチに劣らない昆虫界屈指の頭脳の持ち主

   北海道大学の10月3日付の発表資料によると、ゴキブリは昆虫界屈指の巨大な脳の持ち主だ。人間の場合、「頭を冷やす」とは、たくさんの情報を処理したり、いろいろなことを考えすぎたりして行き詰まると、脳が疲れてしまうが、この興奮した脳を鎮静化する(冷やす)働きをいう。その際に神経の興奮状態を抑える役目を果たすのが、最近、機能性食品で注目されている「ギャバ」(GABA)だ。ストレスを抑える効果がある神経伝達物質で、人間の大脳にはこのギャバを使って情報を処理する神経組織があることがわかっている。

   今回の研究で、ゴキブリ(ワモンゴキブリ)の脳を詳しく調べた結果、社会性昆虫であるミツバチに匹敵するほど大きなキノコ体の神経組織が発達していることがわかった。キノコ体は人間の大脳の海馬や大脳皮質に相当し、記憶をつかさどる。また、ゴキブリのキノコ体神経組織が人間の大脳がギャバを伝達物質として興奮を抑える仕組みと同様の働きをしていることも確認された。

   「頭を冷やす」システムがあるということは、もしエサに群がって興奮しても危険が近づくと、即座に興奮を鎮めて逃げる「知能」があることになる。

   研究チームは、発表資料の中で、「超巨大なゴキブリの脳神経が、脊椎動物とよく似た収斂(しゅうれん)進化を遂げていることがわかりました。長時間のモニタリングが可能なので、睡眠や学習、記憶など様々な生理機能の研究に役立つことが期待されます」とコメントしている。

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