「殺菌効果は否定していない」
そうしたなか、厚生労働省は「報道が一人歩きしていると感じています」と、漏らす。医療機関で使われている消毒薬などが今回の規制の対象外となっているように、「米FDAは、家庭用(の抗菌石鹸)で健康な人への感染症リスクを低減するとの根拠となる資料が(メーカーなどから)示されなかったとしています。つまり、家庭での感染症予防の効果には疑問が残るが、殺菌効果を否定しているわけでも、殺菌効果をうたう商品がなくすわけでもありません」と説明する。
そのため、厚労省もこれまで承認している薬用石鹸については、「殺菌効果を否定するものではありませんし、問題ありません」と話す。そのうえで、多くの薬用石鹸に含まれている「トリクロサン」や「トリクロカルバン」などの成分を使用している商品の切り替えは、「業界団体が自主的に促していることもあり、その取り組みを後押しするものです」という。メーカーには、1年以内に代替品の承認申請を求めるとともに、その際の承認審査を迅速に行うことを通知した。
一方、メーカーもトリクロサンなどの成分の使用を減らしはじめている。トリクロサンやトリクロカルバンは、薬用石鹸のほか、うがい薬や洗顔料、手指の消毒剤、練り歯磨き、化粧品など、一般家庭に置かれ、広く使われている殺菌成分だ。
日本初の薬用石鹸、「ミューズ」を販売するレキットベンキーザー・ジャパンは、ミューズ固形石鹸の成分をトリクロカルバンからサリチル酸に切り替えると、9月26日に発表した。サリチル酸は米FDAが公表した19の成分には含まれず、現在市販されている液状や泡状のミューズで使用している成分にあたる。
同社は、「現在までに健康被害は確認されておらず、トリクロカルバンの使用にあたり、安全性・有効性には問題がないことを確認しています」としている。今回の切り替えは、「より安心して使ってもらうため」という。